大奥


オープニングは例の「総触れ」。どアップの錠前が鍵で開かれる絵面はあまりにチープだけど、その後、並んだ男たちをすべるように映していくカメラに、自分でも驚いたことに、わくわくしてしまった(笑)吉宗(柴咲コウ)のセリフを借りるなら「私も女ってことだな」←このシーンの「取ってつけた」感はすごい


場面は時間を遡る。貧乏旗本の息子・水野(二宮和也)が大奥に上がるまでがやたら長い。水野は大奥では「特別」な人間。大奥以外での描写が下手に長いと、その「特別」感が薄れてしまう。普通のやつじゃんと思ってしまう。
今回使用されるのは原作のほんの導入部だから、「○○という特殊な世界に、○○らしくない者が現れて頭角を現す」というパターンの話としてもっと自由な内容を期待してたんだけど、原作をほぼなぞっているだけ。よく出来た話だな〜と原作を見直した(笑)そのくせ、吉宗が城内のそこここで男をつかまえる描写を省略してるのにがっかり。あれで終わりじゃ、何だか嫌味っぽい。


大部屋に入った水野が「田舎者」とからかわれ、啖呵を切って返すシーンは、深夜のドラマでキャバ嬢が争ってるようで(実際にそういうの観たことないから知らないけど)、悪くないなと思う(笑)他にも、何かがすごくみなぎってるような…顔の肉の下に違う生物がうごめいてるような、玉木宏の出演シーンなど、楽しく観た。


話がずれるけど、例えば落語においても、噺の舞台が江戸であれ、現代的な喋り方で演じられる場合があるけど、マイナス要素とは感じない。映画も同じだなと。勿論「当時っぽい」言葉遣いや所作を味わうのも楽しいけど、結局は、面白いかそうでないかだ。