プチ・ニコラ


「フランスで50年前から愛されている国民的漫画、初の実写映画化」。私は読んだことない。原作のエピソードを散りばめたオリジナルストーリーが使用されているそう。



しかけ絵本を追う」形の可愛らしいオープニングに、同じローラン・ティラール監督による「モリエール」(感想)の冒頭、揺れる生地の数々を思い起こした。なんてことないんだけど、そっと顔を近付けてるというか、あったかい感じ。


舞台は「古き良き」60年代のパリ、「汚い」ものは出てこない。趣向の凝らされたセットの中で、丁寧に描かれるエピソードの数々に、幸せな気持ちになる。
笑いも超「ベタ」。こまかいギャグを一つ一つ重ねていきながら、時に大きなギャグに持って行く。ゆるやかながら絶えることのない場内の笑いが、「縦列駐車」のくだりでは渦になる。


終盤、ニコラがぷいとしてしまった晩の食卓。ママがパパに目配せする。何か話してよ、という意味かと思ったら、パパのすることは…この場面が最高。上記「モリエール」の夕食の席で夫人がついつい笑い出してしまうシーン(今年一番のお気に入りシーン!)を思い出す。
ラストシーンでもニコラが(「ぼくは弟が欲しかったのに!」なんて理由で)怒ってるので、どうなるのかと思ったら、同じように「笑い」が画面にあふれ、ニコラは一歩成長する。


出てくる子どもたちが皆イイ顔。ああいう子いるいるって感じ。ニコラが「美人」と感動する女の子の、いかにもフランス風な顔立ちもいい。全員、物の扱いがちゃんと乱暴なのも良い。
そして、教員一家としては気になっちゃう学校の場面。担任の先生がとても良かった(私もあんな男の子たちに「マダム」と呼ばれたい!)。もちろん現実的に見ると「あんなんじゃ給料もらえない」仕事ぶりなんだけど(笑)頼りないアゴと口元、大した触れ合いがあるわけでもないのに、病気が治って戻ってくると、子どもたちが駆け寄ってくる。ああいうの、観てて楽しいなあ。
子どもたちの「合唱」シーンでは、「コーラス」感想)のマチュー先生が特別出演。あの顔はちゃんと覚えてた(笑)


ママ役のヴァレリー・ルメルシェって「モンテーニュ通りのカフェ」(感想)で一番面白かった「女優」さんか。この映画ではしぶい石野真子って感じ、相変わらず楽しかった。