ロビン・フッド



「(おれたちが持ってないはずの)種が芽を出したら、奇跡ってことにすりゃあいいのさ
 教会は奇跡に文句は言えない」



ラッセル・クロウロビン・フッドに据えた、リドリー・スコットの新作。めちゃくちゃ面白かった!
こういう「普通に面白い」映画こそ、大きなスクリーン、満席状態で観たいものだけど、新宿ピカデリーでは(公開3日目にして)一番小さいレベルのスクリーンでの上映。とはいえ平日の夜ながら席はほとんど埋まっていた。


ケイト・ブランシェット演じるマリアンが、荒涼とした領地を「女手」で守る姿に次いで、前書きの文章が表れるオープニングに、何やら予感がしてわくわくさせられる。その後、弓をひくラッセルのアップにタイトルがかぶさるカットに、へんな言い方だけど、この映画が3Dじゃなくてよかった!とつくづく感謝した。
その後のストーリーは見事の一言。一本の剣、一つの文章を手にしたロビンが「運命に導かれ」るように「ロビン・フッド」となる様は、おとぎ噺の趣もある。ラストの海岸での戦闘も見ごたえ十分。ただ、アクションシーンでちかちかするのは苦手…。戦闘シーンなら、私は「簡素な城での接近戦」が一番燃えるから、北方の何とか侯のお城での一幕が楽しかった。状況は全く違うけど、「十三人の刺客」(感想)で尾張藩が斉宣の通行を拒むシーンを思い出した(あのシーンも良かった)。


水面下?で順調に進むロビンとマリアンのべたなラブストーリーも楽しい(入浴の手伝い、薄布越しに見える下着姿、祭りの夜の盛り上がりなど・笑)。暖炉の前でのシーンはきれいだった。ラッセルに添い寝する犬の可愛いこと!
スキンヘッドでシンプルかつ完璧な悪役を演じるマーク・ストロングのかっこよさ、マックス・フォン・シドーによる爺さんの食えなさと見せ場。「国のためを思っている」と言ってのける、摂政マーシャル(ウィリアム・ハート)の存在も面白い。基本的には、これまでの人生を感じさせる「大人」たちの物語だけど、時折出てくる子どもの姿も印象的だ。


ラッセルは苦手だし、その顔しか出来ないのかよ〜と思うけど(ケイトを馬に乗せてやって見上げる時の、あの顔!)、この映画にはぴったりはまっていた。
そして、フランス女はやっぱりすきっ歯だった(笑)