落語物語


映画としてはそう面白くないけど、出演してる落語家さんたちを見るのが楽しかった。皆いい演技。一番嬉しかったのは喬太郎の見事な啖呵(でも役には合ってない・笑)。その後しばらく、映画の内容より、久々に彼の高座観たいなあということに思いを馳せていた(笑)



ピエール瀧演じる師匠に惚れて弟子入りした青年を中心に、おかみさん(田畑智子)、前座仲間や厳しい師匠、テレビで人気のアイドル噺家など、現代の落語人たちの姿が描かれる。
落語家が監督だからか、登場人物のセリフ全てに「こういうこと感じてる落語家さん、いるんだろうなあ」と思わせられる。でも「羅列」っぽいというか、監督のエッセイ読んでるみたい。セリフを生み出す「お話」が大事なのに。
私が落語は笑えりゃいいと思ってるからかもしれないけど、描写が辛気臭くもったいぶってるのも辛い。病室のシーンなんて耐え難く、それこそ落語会でやたら長い人情ものに遭遇したような気分。最後の主人公の高座のくだりは楽しくて良かったな。


寄り合いにて「女の古典(落語)はどうもね〜」などと話してる師匠たちが、朝丸(三遊亭小円歌)に気付いて「いや、師匠は美人で華があるから」とか何とか言う。「女の古典」についてどう思うかなんて人それぞれ、その後の対処が最悪なわけだけど、そういうとこも含めて、女噺家へのセクハラについては、ぎりぎり、そういうことがありますよ、という姿勢として受け取れる。対して「落語娘」なんて、セクハラ自体をほのぼのギャグとして扱ってるから、嫌なこと思い出して吐き気がしたものだ。
アイドル的な女噺家が「下着をたくさん干した部屋でコンビニ弁当を食べ、道ならぬ恋をする」ってのはあまりにあまりな描写。でも、そもそも落語ってそういうものなんだろうな。型でもって描くというか。


田畑智子の体調が悪くなると、外で犬が吠える。私が昔飼ってたのにそっくりでめちゃ可愛い犬なんだけど、最後のシーンで飼い主のピエール瀧に全然なついてないのにちょっとがっかり(笑)