カールじいさんの空飛ぶ家


2D字幕版を観賞。


とにかく素晴らしいの一言。まさに「総力をあげて」作られた、という感じ。



冒頭に綴られる「思い出」のくだりには涙がこぼれてしまった。
子どもの頃の二人が、室内に紐でつった毛布をテントのようにしているシーンに、小学生の頃、仲の良かった子の家にあった三つ折りできる赤いマットレスを三角の土管のようにして、中に入って遊んでたのを思い出した。


一番印象的だったのは、エリーが「冒険ノート」の表紙に貼った「NEW」という一言。幻の滝を夢見る少女は、「冒険ノート」の最初にその写真を貼り、「いつか行けたら、その冒険をここに書く」と決めていた。しかし風船売りのカールと結婚し、一軒家に暮らすうち、彼女は自分の夢を「更新」する。愛する人との日々こそが、夢であり幸せであり、冒険なのだと。そして滝での冒険を綴るつもりだったページの続きに、二人の写真を貼っていく。
エリーを失い、冒険の末に行き詰ったカールじいさんは、彼女の遺した「新・冒険ノート」でその思いに触れた後、思い出に別れを告げ、自分に出来る新たなことのために立ち上がる。
対象的なのが冒険家のマンツだ。彼は若い頃の夢にその後も囚われ続ける。カール少年のヒーローだった彼が途中から「悪役」になるのが少し意外だったけど、観終わってみれば、「悪役」でなければならなかったのだと分かる。


予告編からは分からなかったけど、私の好きな「立ち退き映画」でもある…と思ったら、最後どうなったのか曖昧なままで残念。見逃したのかな?冒頭、ブラッド・バードが脚本書いてる「ニューヨーク東8番街の奇跡」を思い出すシーンあり。