ホース・ソルジャー



なぜかしら、イーストウッドが見たらどう言うかなと思いながら見ていた(彼が他人の映画に意見するところ、あまり想像できないけれど)。「ガトリング砲が発明されて使われなくなった」騎馬が、空と大地なら大地の側を走ることでミサイルや戦車の砲撃を掻い潜っていくクライマックスは、(ブラッカイマーの馬映画繋がりで)「ローン・レンジャー」のそれの楽しさを100としたら12くらいだけど、普通の映画は10くらいだからまあまあだし、「牧場育ち」のミッチ・ネルソン(クリス・ヘムズワース)が一人ゆく画も、ハル(マイケル・シャノン)が目を閉じる前に見る男達が馬でゆく光景も、西部劇みたいで悪くない。


大佐(ウィリアム・フィクナー)に「君達を選ぶ/テロに最初に反撃する12人だ」と言われたミッチとハルが「俺らが一番乗りだ」「宇宙へは最初に猿が行ったんだ」と笑いながら仲間のところに戻るシーンがあるからじゃないけれど、その晩の出撃シーンで彼らが乗り込むのは宇宙船のように見えた。「スター・ウォーズ」シリーズで違う星へ行く場面のようだった(ロケに「砂漠」が多く使われているのだからあるいはさもありなんか)。しかも着いた先には「スター・ウォーズ」に描かれているよりも大きな文化の差がある。「反対」の類の概念は(ここでは人類という)共通項の上に存在し得るものだからだとも、「スター・ウォーズ」はやはりアメリカ映画なのだとも取れる。


ドスタム将軍(ナヴィド・ネガーバン)にタリバンの基地に案内されたミッチが空軍に爆撃指示を出す前に「彼らは本当にタリバンなのか」と確認すると、将軍は当の基地に対して「お前らは死ぬ!米軍が来たぞ」と言ってのける(無線からは「Fuck! America!」と返ってくる)。まるでスケッチを見ているようだが、そう思うのは私がアメリカ文化に浸かって生きてきたからなんだろう(ああいうことが本当に「ああ」なのか分からないけれど/あるいはブラッカイマー製作映画の特性かな)。逆に冒頭の「馬の餌」がかの国ではお笑いになり得るのかもしれない。