なんちゃって家族



公開初日、シネマート新宿にて観賞。
とてもチャーミングな映画だった。大きなスクリーンでコメディを見るのってやっぱりいい。結構な人の入りで、皆と一緒に笑って、楽しかった。
よく出来たお話で、冒頭の「今日から客とセックスすることになりました〜」みたいな、ああいうテンポも超好み。赤ちゃんネタには、全然違うだろ!って言われるかもしれないけど、大好きな「バーニーズ」に代表される…というか、昔ながらの「命的なものを粗末にする系」のコメディの匂いがあって、ああいうの好きだなあ(笑)


昔からジェニファー・アニストンが好き(まず顔が好き!)な私としては、彼女が最高に魅力的に撮られてたのが嬉しい。逆光に背中からの登場、楽屋に戻ってからの一幕が楽しい。「ローズよ、Rがつくの」からの「しかも矢印つき?」には笑ってしまった。まさか終盤、この名前のやりとりが活きてくるとは。
冒頭のストリップシーンが少ないなと思いきや、後半に楽しい見せ場がある。この場面、一目見るなりのいい女じゃなく、自分で「私はダンサー」「チャンスをくれたら、殺すには惜しい女だと分からせる」と技を披露するという流れがいい。「プロ」なんだよね。ささやかなことだけど、こういうのって私には大事。「ペニス!ペニス!」シーンにも笑ってしまった。繰り返し見たい(笑)


たるんで庶民的なブラッドリー・クーパーといった感じのジェイソン・サダイキス(でも魅力的!)は、オープニング、腹の出た、バンの後ろに家族四人の絵を貼ってる同級生に「申し訳ないけど、いつまでも変わらずにいてほしい」と言われる。学生時代から麻薬を売ってた彼の、現在のボスも「同級生」。自分からは何も求めず、変わらない半径の中で生きてきたのかなと思う。でも実は、半径数メートル、いや数十メートル以内に、掴めば届くものがあった。
物語の終わり、自分達が嫌ってた「家族」になってめでたしめでたし…なのかというと、そうじゃない。ラストのセリフ、というかあのセリフで終わるってのがいい。とことん自分(達)目線、自分が主役の話なの。筋が通ってる。


私が本作に興味を持ったのは、「リトル・ランボーズ」でとてもよかったウィル・ポールターが出てるから(あの映画館のシーン、思い出すだけで涙が出そう)。すっかりガタイがよくなって、本作では「18でセックスはおろかキスもまだ、そんな自分が嫌」だという大学生の役。「『女の子』(ジェニファー含む)が大変なら助けなきゃ」「嘘はつけない」なんて「分かりやすい」タイプだけど、嫌味ゼロ。まさかのラップ披露には超、得した気分。