アイム・ソー・エキサイテッド!



公開初日、ヒューマントラストシネマ有楽町にて観賞。
予告編から、アルモドバルを好きになった「神経衰弱ぎりぎりの女たち」を思い出して楽しみにしてた。フタを開けてみたら、彼の大事なものばかり詰め込まれてるようで、それをスクリーンで見られたことが嬉しかった。


飛行機の中に「嘘を付けない」者がまず一人、そこへあの電話、酒に薬でその場の全員が(「開チン」ならぬ…オヤジギャグで失礼・笑)「開陳」しちゃう。でもって「皆の運命が変わる」。自分があそこにいたなら、そりゃあセシリア・ロスのように事後のタバコを吹かしたい。でもって私なら、何が変わるだろう?なんて想像しちゃう、私にとってはいい映画。
可愛いアニメーションの後にfilm by〜とアルモドバルの名が出るだけのオープニングからして、なんだか私家本のよう。お金も大して掛かってないようだけど、飛行機の内装も素敵だし、ロケ地の街の陸橋も素敵。でもって何が起こるってわけでもないのに、不思議なことに、全編どきどきさせられる。3人の乗務員がタイトル曲で踊る機内の、あくまでも「個」の集まりでしかない空気、旅客機が到着する無人の空港の、なめてんのかって言われそうなほど「そのまま」だけど、異様なほど張り詰めた空気、ああいうの好きだなあ。


なぜか一番アルモドバルぽく感じたのは、セシリア・ロスの顔がコックピット内のディスプレイに大写しになる場面。後に耳栓をした俳優が彼女に話し掛けられるも、言葉が聞き取れず彼女が何か喋ってる顔だけが見える、という画が二度、二度も要らないだろって感じだけど、これもなんだかアルモドバルぽい。
最初「私の命が狙われてる!」と騒いでたセシリア・ロスが、最後には睦まじくなった「警備員」の言を聞いても全然事の次第に気付かないのが可愛らしくていいよね(笑)