テッド



満席の有楽町スカラ座にて観賞。
観終わってまず口を付いて出たのは、なぜマークはミラからの着メロ、あんなのにしてたの?怖いの?という疑問。スターウォーズ好きの同居人いわく「彼女が好きだからだよ!」。そういうものなんだ、聞いてみてよかった(笑)


あれだけギャグの嵐だったのに、私が一番笑っちゃったのは、オーソドックスな「エビじゃないほう」。数ある「ネタ」の中で嬉しかったのは「フライング・ハイ」のパロディ、マークがあんなことしてくれるなんて!効果音まで同じなんだもの。ZAZものにおいては「回想シーン」=「パロディをねじこむ装置」だから、主人公の回想に使われるのはさもありなん。ちなみにこのレストランでの一幕、冒頭に映るピアノ弾きの顔がすごく「妙」で、何か起こるなと思わせられた(笑)


主人公が意図せず「生み出してしまった」ものの責任を取る、という意味で、私としては本作は「ルビー・スパークス」とちょっとかぶるんだけど、「人間」に見えなかった(そこが面白かった)ルビーに対し、テッドは(クマなのに!笑)「人間」に見え、友情ものとなっている。その所以こそが「時間」ってものなのかな。
パーティの後に激怒し去って行くジョンに向かって「I love you」を口では言えず、自分の胸を押して表現するテッドの姿にはほろり…と思いきや、大喧嘩の後には勢いを借りて?さらりと言ってのけるのが可笑しい。
「お話できますように」というお祈りで生命を得たテッドは、喋りが上手いに決まってる。ジョン(マーク・ウォルバーグ)もロリー(ミラ・クニス)も全然いけてるから、二人で居たらそりゃあ楽しいだろうけど、三人ならもっと楽しいかもしれない。このあたりは、私がいつも思う、「セックスの相手と人生のパートナーとを共通させなければならない社会において生まれるドラマ」だ。


ジョンに対しては、宇宙を救うなんてものに夢中になってるなら、まず自分でうんこ拾えよと言いたい。料理も裁縫もしない(出来ない?)し。でもそれが不愉快ってわけじゃなく、そういう人がいたっていいし、マークが演じてるってことを差し引いても、なかなかチャーミングに感じられた。そういうのを左右するのって、ちょっとした行動やセリフの内容なんだよね。
彼に一目惚れしたロリーの恋心が全篇通じてあふれてるのが楽しい。同僚達に「世界一ホットな男」と言い切ったり、野外ライブの帰りに「恥だなんて思ってない」と返したり、自分から追い出したものの面と向かってさよならを言われると未練がましく追いかけたり。ジョン役がマークというのが丁度いい加減で、あまりにいい男じゃ話に合わないし、そうじゃなさすぎると「また女の方ばっか『美女』を使いやがって(不公平じゃん)」とむかついてしまう。
テッドが居なくなった翌朝のソファーでの一幕がいい。「あなたって4年目になっても驚くことばかり/努力って、なかなか出来ないものよ」「他のやつらには理由が無いのさ」。その後の「銃」には笑っちゃう。セックスの中に笑いがあるのって、実生活でも映画でもいいものだ。


振り返ってみると、全体の印象としては、「物語」とギャグやパロディのバランス、頑張りや痛みの薄さ、アクションシーン、等々ひっくるめて、アメリカ映画の「今」の代表って感じを受けた。今=最先端って意味じゃなく。