ブラック・スワン


公開初日、新宿ピカデリーにて観賞。ほぼ満席。
「私」の、私の、私の映画。笑っちゃうほど怖くて、面白かった。



冒頭「白鳥の湖」を踊るニナの、床にこつこつあたる足音、彼女の部屋の「異様」さ、地下鉄の騒音、全てに不穏な予感がする。
ミラ・クニス演じるリリーが「ソリスト」の控え室に入ってくるシーン。「自分の持っていないもの」に対する、ニナの恐れやあこがれが画面に滲み出ている。その後もリリーの登場シーンは素晴らしい。このあたりでは「二人の少女が自分にないものを持つ相手と向き合う」という少女漫画のパターンを思ってたけど、次第にそういう話じゃないと分かってくる。
それならば、私が「黒鳥」というと思い出しちゃう、山岸凉子の同名作のような内容なのかというと、そうでもない。ヴァンサン・カッセル演じる監督トーマスとの関係はメインではない。この問題…権力ある者の「使い捨て」に対し、リリーは「優しくないわよ」と評して「現実的」に対処し、ニナは「わが姫君」と呼ばれるに至ってするりと逃げる。
とどめに、かつて「群舞の」バレリーナだったが、娘を産んだことでキャリアを「諦めた」母親エリカ(バーバラ・ハーシー)。冒頭から娘の着替えを手伝うなど、どこか「異様」だ。ベッドで横を見ると!ってシーンの怖いこと。セックスの真逆にある「家」、の息苦しさがよく出てた。
あらゆる他者が、ニナを追い詰める。彼女の敵は全方位、まさに「世界」なのだ。地下鉄の向かいの席の老人さえも。


ウィノナ・ライダーが「前プリマ」役として登場するのに驚いた。私は昔、ウィノナとナタリーを混同してたので、そんなに世代違うんだっけ?と思って。調べたら10歳差だった。


(この感想は続きを書くかも)