新作落語お正月寄席



三遊亭ふう丈「秘密の日記帳」
古今亭駒次「はじめての自転車」
三遊亭天どん「ポニーちゃん」
桂枝太郎ユキヤナギ
三遊亭円丈「横松和平」
 (中入)
林家彦いち「ジャッキーチェンの息子」
三遊亭白鳥隅田川母子」
 (1/3・プーク人形劇場)


今年も初落語はこれ、円丈白鳥が揃う中日に出向く。
枝太郎の語り口は、特にこういう小さな会場では気持ちがいい。でも、彼に限ったことじゃないからここで書くのも何だけど、現代が舞台の「新作」落語なのに、掃除したりお茶いれたりするのは(父と息子も居るのに)母と娘なんだな。この噺、円丈の「ぐつぐつ」で言うところの「ぐつぐつ」という言葉にあたるのが「掃除しなさい」という父親のつぶやきだから、余計そう思ってしまう。
彦いちの枕はやっぱり面白い、まず新鮮だもの。「右側ばかり揉まれた話」には笑ってしまった。
トリの白鳥さんは枕無しで終了時刻きっちりに上がる。「隅田川母子」のお正月バージョンは、主人公(と言っておこう・笑)が浅草演芸場の初席に行ったり、焼きとんやアメリカンドッグを初天神ふうに食べたりする。


会のあと名古屋に向かうという円丈は中トリ。開口一番「参拝」ネタが出たのが、初詣帰りの私としては嬉しかった。「(狛犬研究家だから)参拝のプロ」「なにせ四千回は行ってる」そうだけど、参拝の話を聞いたの、私は初めて。「五円を入れるってのは…」「神様は聖徳太子よりずっと上なんだから…」と、それもそうだなと思っちゃう、「実用的」な内容(笑)
寄席の初席の話題から「漫才」ネタになったのでもしやと思ったら、大好きな「横松和平」。成子坂に暮らす二人の話だから、どの会場よりここが合ってる。今は「貧乏」の意味が変わってきているから、とくに回転寿司屋のくだりなど考えこんじゃうけど(でも二人は貧乏じゃない、「赤貧」なんだよね・笑)、並んで腰掛けている二人の姿が見えるようでじんとした。「夫婦漫才は例外なく仲がいい」という枕からの本編だから当然仲がいいわけだけど、「相棒」である二人が、歩く時に手を繋ぐわけでもなく並ぶわけでもなく、妻が少しだけ先をゆく、そのちょっとわびしい感じが円丈の語り口にぴったりで、ぐっときてしまう。事あるごとに旦那が「お前にそう言われると嬉しい」と言うのも好き(笑)
最後の場面、音源だと「分からない」けど、ナマだと納豆巻きを食べる仕草で会場がなごむ、その笑いの中に居られるから嬉しい。「もう話すことがない(から幕を下ろして)」というのがサゲ?なんだけど、この日は前座さんがちょこっとしくじって、幕が途中で止まってしまったのも可笑しかった。