もらとりあむタマ子



同居人が「予告編に(私)みたいなところがあったから見たい」と言うので一緒に見てみたんだけど…エンドクレジットの短さに感動した(笑)こういうのでいいんだよ、いやこういうのがいいんだよ、って感じの映画。


大学を出て実家に戻っているタマ子(前田敦子)、「甲府スポーツ」を一人で切り盛り(って程、忙しくないけど)する父(康すおん)ら、登場人物の「これまで」や「これから」が全く気にならない、そういうのを想像するのが楽しい映画もあるけど、想像しなくて済むのが楽しい映画ってのもあるものだ。ただしラストシーンに映ってる花火大会のポスターの日付が「9月22日」なのが、この頃には彼女はもうこの家にいないんだなあ、とちょっと胸にくる(もしかしたら街にはいるかも、まあそれはそれで楽しい・笑)
人物が去った後もしばらく辺りを映しているカメラの「残り香」がいい。台所の机や橋の上など、うちの中や田舎の外の匂いがするんだろう。


前田敦子がいくら「ダメ女」を演じようと、きれいに整えられた眉毛や黒目の中の光に現れている小奇麗さに、しょせんフィクションにおいて許される「ダメ女」はこんなものか、「ダメ可愛い」ってのもいいんじゃない?って感じなんだろう、と思うも、それは彼女だけじゃなく映画全体を支配するセンスだから、嫌な感じはしない。その割には?食べ方が本当に汚いのには参った。最後にアイスを「ねぶる」場面など直視するのがやっと。
彼女の動き、例えば年末の大掃除でカレンダーを取り出そうと身をかがめる際、筋肉というより反動を使って出来るだけ楽しようって感じがいい。父の「ねるとん」相手(富田靖子)の偵察に行くも素性がばれてしまい、目を合わせずに喋り捲る場面での、普段人と話さないけど喋ると結構楽しい!とだだ洩れてる感じもよかった。


甲府スポーツ」の近景に、田舎生まれ&育ちの常として、うちとどっちが田舎だろう?と思っちゃったけど、タマ子の「ちょっとコンビニ」というセリフに、ちょっとのところにあるなら大して田舎じゃないな、と負けた気分になる。近所の中学生が通学時にヘルメット被ってるのは同じ、でも「彼女」の方は徒歩だから被ってないのに、私は徒歩でも被らなきゃならなかったな、などと思う。彼の方が紐を「締めていない」のは、あれがかっこいいんだよね(笑)


予告編で「東京のカサノバ」のマーガレットコミックスが出てきたのが心に残ってたんだけど、本編では始まって早々、タマ子がトイレで読んでいた(笑)くらもちふさこの漫画の数々は、母親が置いていったという設定なんだろうか?いつも散らかってた天コケが、大晦日(大掃除の後)には一応揃えて積んであるのが可笑しい。