レッド・ドーン



オリジナルは大好きだったパトリック・スウェイジ主演の「若き勇者たち」('84)。「設定」というより「ネタ」に重きを置いているタイプのリメイクなので、比べて見るのに楽しいタイプの映画と言える。「少年少女によるレジスタンス」にまつわるあれこれを描くオリジナルに比べ、本作はアクションに力が入っている印象(だけど、その部分が特に面白いわけではない・笑)


「敵」を北朝鮮軍の中間管理職のおっさん一人に絞ることで、彼らが戦っている相手がぼやけて気楽に見られる。レジスタンスを描くための理由付けだもの、これでいいんだ(と思いたい)。
冒頭、アメリカを取り巻く世界情勢についてのナレーションにおいて「北朝鮮の現最高権力者は父の溺愛を受けて育った」ことが強調される。一方、本作のジェド(クリス・ヘムズワース)&マット(ジョシュ・ペック)兄弟の父は「町を守る」警察官(しかし息子の試合は陰からちゃんと見ている)、兄のジェドは(訳あって、だけど)「国を守る」海兵隊員。要は「自立して国のために働け」ってことかな(笑)


オリジナルでは、マット役のチャーリー・シーンに「皿洗っとけよ」と言われたリー・トンプソンとジェニファー・グレイが「女にばかりこんなことさせて」と言い返すも、彼は何を怒られてるのか分からない…という場面があったんだけど、本作には無い。グレイ演じるトニが「おとり」となり敵側から武器を奪う場面も、オリジナルでは「女」を利用するのに対し、本作ではたまたまその役に付いたという感じ。「男女」の間がフラットになっている。
兄弟が「裏切り者」を始末するくだりも、「我知らず」仲間を裏切ってしまった当人が自ら命を絶つというふうに変更されている。ジェンダーにせよこのことにせよ、「問題」を提起せず無いものとして進める本作の方が、優しげに見えてマッチョであるとも言える。


小さな恋のものがたり」からずっと見守ってるジョシュ・ハッチャーソンは、冒頭のアメフトの試合の際、「学校のサイト」に載せるからと観客を撮影し怒鳴られる「文科系」少年。ジェドの訓練を受け、銃を撃ってひっくり返りそうになったり、人を殺して吐いたり、狩った鹿のほかほかの血を飲まされたりする(この場面をオリジナルと比べると可笑しい)。中盤、ビルの屋上からの狙撃の際、物陰からひとり飛び出して撃ちまくり快哉を叫ぶ姿に、彼の「センター・オブ・ジ・アース」以降のキャリアを思って胸が熱くなった(笑・「ハンガー・ゲーム」大好きだけど)


でもって一番、というか唯一アガったのは、「サブウェイ強盗」の際に「Up Around the Bend」が流れるところ(それにあのバケツ!緊急事態とはいえエサかよと・笑)。この曲、ラッセ・ハルストレム×リチャード・ギアの「ザ・ホークス」で聴いた時もよかったなあ。