ものすごくうるさくて、ありえないほど近い



公開初日、丸の内ピカデリーにて観賞。原作未読。



「パパは言ってた、真実を知ることは解放されることだって」
「そのパパはもういないのよ…」


少なくとも映画においては、オスカーのキャラクターが全てだと思った。例えば昨年末「マーガレットと素敵な何か」を観た際には、7歳の子があんなもん作れるわけないだろ!と白けてしまったけど、本作ではオスカーのキャラクターもあり、あの活動や創作物の数々が割とすんなり受け入れられた。そういうのって大事だ。彼の「探検」に、子どもの頃、教育テレビの社会や理科の番組が好きで、近所を一人でぶらついて「探検」ごっこして遊んだのを思い出した。彼はそんなレベル、軽々と越えてるけど。


オープニングは、空を舞う人間に続いてオスカーの真正面の顔のアップ。墓地に停まった車の中のオスカーが、飛び出してくると武道着姿だったり、パパとの回想シーンで拡大鏡?を着けたままで目がでかかったり、原作通りなんだろうけど、まずはぱっと見の楽しさがあっていいなと思う。「8分が無くなってしまう」などのナレーションも悪くない。ただ私の好みとしては少々辛気臭く、もうちょっと軽やかな方がよかった。加えて、こちらがまだ物語に乗っていない冒頭からいきなりクライマックスという感じを受け、あまり心が沿わなかった。


中盤、オスカーとサンドラ・ブロック演じる母親がぶつかるシーンが良かった。ああいう「ぶつかり合い」を観るの、久々な気がした(「久々」じゃないんだろうけど、そんな気がした)。「本気じゃない」と言われる時のサンドラの顔と、その後の一言。
もっとも映画としては、「間借り人」のマックス・フォン・シドーが出てきてぐんと面白くなる。二人の関係がああじゃなくても、きっといいことができたろう、と思わせられた。まあ、シドーのような役者使ってるんだから当たり前という気もするけど。