ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬



雨の土曜、公開初日のお昼過ぎ、都心では数少ない上映館の有楽町スバル座に行ってみたら長蛇の列。立ち見というので諦めて次の回に。そちらも満席だった。上映中は笑いが絶えず、エンドクレジットの前と後にどちらも大きな拍手が。いい気分だった。


私としてはすごく面白かった!わけではない。でも最近の映画では味わったことのない類の笑いで(だから先が「読め」なかった)、いつもと違うところをマッサージされたような心地よさがあった。大入満員の場内が笑いで揺れるのに、こういう需要があったんだと思う。スクリーンの真ん中に車椅子越しにちんまり映る、ローワン・アトキンソンの背中が神々しく見えた。


「Mr.ビーン」ことローワン・アトキンソン諜報機関MI7のスパイに扮する「ジョニー・イングリッシュ」('03)の続編…といっても観るのに何の知識もいらない。私も前作については全く覚えていない。
冒頭の僧院での修行がラストにつながるなど、いわゆる「伏線の回収」はちゃんとあるけど、昨今の他の映画のように「びしびし決まる」わけではない。例えば前半、MI7の局長(ジリアン・アンダーソン)がジョニーに向かって「今のスパイはもう、銃と女ってわけじゃないのよ」と言うが、ジョニーは聞いてか聞かずか彼女や他の女性に「セクハラ」めいた発言をする。ゆくゆくどうなるんだろうと思ってたら、ジョニーのそんな言動はその時だけなのだった。こういうその場限りのギャグ?って今や新鮮だ。


007シリーズをなぞりながらも、そこにはただローワン・アトキンソンの肉体があるのみ…というだけなら「スケッチ」で終わっちゃうけど、加えてお話や他のキャラクターがしっかりしてるから、全然「映画」になってる。豪華ロケの割には全篇ご近所感覚が漂ってるので、観賞後に同居人も勿体無い!と言ってたけど、私はそこが気に入った(笑)