マイティ・ソー


作中気付かされるけど、これは「木曜日」の映画なので、ナタリーつながりで「水曜日のエミリア」と続けて観るのがいい。ちなみに「水曜日のエミリア」でナタリーとしっくり行かない継子が「科学好き」なので、「マイティ・ソー」の学者役のナタリーとの方が合うんじゃないかと思ってしまった(笑)まあそういうの関係ない、という話なんだけど。



マーベルコミックの実写映画化。神の世界の王(アンソニー・ホプキンス)の息子であるソー(クリス・ヘムズワース)は王位を継ぐはずが、傲慢な性格のためにパワーを封じられ、武器である「斧」と共に地球に追放される。落下地点に居たのが天文物理学者のジェーン(ナタリー・ポートマン)のチーム。彼女は自身の研究のヒントになるとソーに興味を抱くが、国家機関がデータや機材、ソーの「斧」など全て押収してしまう。


まずはソー役のクリス・ヘムズワース(彼演じるソー、と言った方がいいかな?)が好みなので楽しかった。登場するなり輝くような笑顔、そしてあのウインクだもの(このウインクがとくに「恋人」に向けられてるわけじゃないのがいい!)
「最強戦士」にして武器は「斧」。血の冷たそうな弟とは武器の種類から、人間界に降り立った際の服装まで正反対。ソフトなスーツを着こなす弟に比べ、何だかよく分からない野人みたいな格好(どういう基準でああなってるんだろう)。アメコミの知識はないけど、動きが「びゅーん」系なのが余計に馬鹿っぽい。
本作はそんな彼が、人間の女性との触れ合いにより「戦わない」ことを学ぶ話、しかし「お前の女のところに行ってやる」と言われりゃ、そりゃあ大爆発するって話だ。


始めのうち、近年の映画で例えるなら「テンペスト」の骨(人間関係)に「トロン」の肉(「異界」の作り)を付けたような感じだな〜と思ってたのが、ソーがジェーンの車にぶつかっての邂逅以降、「最強の戦士」だが「地球ではバカ(地球じゃなくても、だろうけど)」というギャップを生かしたベタなギャグが満載で楽しい。大好きな「原始のマン」あり、「ジャングル・ジョージ」あり(お約束の「自分の肉体的魅力に無自覚な男の着替えを見て女友達が感嘆する」シーン・笑)と、お馴染みカルチャーギャップ・コメディの様相も見せる。名前が分からないけど白いトンネルの中に政府が奪った大事なものが!というくだりでは「E.T.」を思い出しながら観てた。


私としては面白かったのが、ダイナーでの一場面。初めて飲んだコーヒーを気に入ったソーは、お代わりを頼むのにマグカップを床に叩きつけて割ってしまう。ジェーンが「丁寧にしてよ」と言うと「無礼だったかな?」と返す。神の世界に「丁寧」「無礼」という概念があるのか、それはアメリカと同じものなのか、と考えてしまったけど(笑)、要するに「言葉が同じ」というのが意味するところは「同じ概念がある」ってことなんだな。


ソーの横顔で終わるラストもよかった。てっきり「神の一年は人間の百年だから、ちょっと旅行でもしてこいや」って言われるのかと思った(笑)