(セントラルパークのスケート場にて、エミリア、怖がるウィリアムに)
「怖くないわよ」
「決め付けないで、僕は怖いんだ、友達はママに言われて滑る時にはヘルメットかぶってる」
「その子はママが怖いのよ」

水曜日、エミリア(ナタリー・ポートマン)は小学校までウィリアムを迎えに行く。弁護士として働く彼女は既婚の上司ジャックと恋におち結婚したが、前妻キャロリン(リサ・クドロー)との息子ウィリアムは彼女を嫌がり、楽しい時を過ごそうと努力しても上手くいかない。
原題は「Love and Other Impossible Pursuits」だけど、物語は確かに邦題通り、エミリアが継子のウィリアムと二人きりになる水曜日から始まる。帰宅してからのひと悶着に、彼らは「合わない」わけではないのだと思う。大雑把で行動的なエミリアと、アレルギー持ちで「科学」を愛する慎重なウィリアムの性格は全然違うけど、ちゃんと話をしているもの。
帰宅した夫に揉め事について報告する際、自分の次にウィリアムが喋るのを聞いてるときのナタリーの顔は「黒鳥」に見えた(笑)もっとも昔の大映ドラマじゃないけど、継母・継子で嫌がらせし合うというような類のフィクションじゃなく、ストーリーは極めてリアル。とはいえキレイにまとめられすぎの感もあり、「アイスじゃなかった」というくだりや(アイスならどうなったのか観たかったのに)、エミリアが隠していた「真実」のドラマチックさはあまり好みじゃない。でも観ていて面白かったし、ナタリーが演じた中では、一番友達になりたいタイプのキャラクターだなと思った。
その夜、エミリアはベッドに入って昔を思い出す。いわゆる「略奪婚」(という英語はあるんだろうか?)までの一部始終…彼女が彼に対し「会った時に何となく親しみを感じた」瞬間から、友達への吹聴、接近、互いの気持ちの確認、関係の成熟までが結構長々と描かれる。私もこれに近いことが二度程あったので(離婚に関与はしてないし結婚もしなかったけど)、そこに妻の姿も、エミリアの悩みも逡巡も「無い」のがリアルに感じられた。
エミリアと母親の映画帰りのシーンが良かった。一体何を観たんだろう?
エミリアいわく「美人がもてない役をやるのは嫌い」「あんなにひどいことして、謝ったら許してもらえるなんて、現実はそんなことないわ」。対して母親は「色んな人がいるのよ」。
その後の会話で、「(父親のことを)水に流すつもり?」と責められた母親の「違うわ、『いい思い出がない』フリをやめるのよ」というセリフが印象的だった。人は何のどこを見て、どう思うかだもの。でも近しい人のそれについて、つい口出ししてしまう気持ちも分かる。
不妊治療の専門医である前妻役に、結構好きなリサ・クドロー。終盤とあるシーンの舞台となるオフィスには、多くの赤ちゃんの写真が飾られている。室内の雰囲気や話しぶりなどから、彼女演じる医師が「エリート」たるゆえんを見られたような気がした。
「エリート」といえば、ナタリーの口から「ハーバードなんてろくなとこじゃないわよ」なんてセリフも聞ける(笑)