ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ



クリスチアナ・ブランドによる原作小説&映画化一作目は未見、出演者に惹かれて出掛けた。一話完結ものなので、本作から観ても支障なさそう。
イギリスの山村、出征したきりのパパを待ちながら農場を切り盛りするママ(マギー・ギレンホール)と3人の子どもたち。疎開でやってきた都会っ子2人も加わって大騒動の家に、魔法のステッキを持ったナニー・マクフィー(エマ・トンプソン/兼脚本&製作総指揮)がやってくる。


冒頭に出た原題「Nanny McPhee and the Big Bang」に、ブタがメインじゃないんだ〜と思ってたら…農場が舞台なので、ブタはあの扱いで正しいんだ。見事な芸を見せる動物たちはあまりに作り物めいていて惹かれなかったけど、最後にげっぷカラスが美味しいところを持っていくのには笑ってしまった。
喋ってる顔が目に浮かぶマギーのナレーションに始まり、「これが私」ともじゃもじゃ頭の本人が登場。最近の(「爛れた美女」風?の)彼女とはちょっと違うけど、所帯臭くバタバタしてるのも可愛らしい。他の出演者はリス・エヴァンス(親戚のダメおじさん)、マギー・スミス(フシギ系婆さん)など。子どもはともかく、彼らがお伽コメディを演じてるのが楽しい。うんこやげっぷが大活躍しても全然匂ってこない、セットや衣装も愛らしい。


子どもがおらず教員経験のある身としては、始めの子どもたちの騒ぎぶりは「学級崩壊」にしか見えず、どう対処するんだろう?とわくわくしてたら、魔法による「体罰」で言うことをきかせるので少々がっかりした。でも子育てって大変だろうし、「機会」を与えてるだけとも言えるから、あれでいいのか。おしおき場面の荒唐無稽さが原作のポイントなのかも。「異形」のエマ・トンプソンが数回だけ見せる「素顔」…哀しそうな顔や楽しそうな顔が効いていた。
(「レッスン」を終えるごとに彼女の顔のイボが取れていくのには、どういう意味があるんだろう?「嫌われる」ために「異形」に化けてるのなら、納得できない…)


ユアン・マクレガーは「アレックス・ライダー」より更に少ない出演時間だけど、一度の登場で、その後の「不在」により作品を100倍豊かにしている。実際中盤以降ずっと、彼のことを念頭に置いて観ていた。最後の「お約束」再登場が嬉しい。