ローラーガールズ・ダイアリー



「これは接触(contact)するスポーツなんだ、接触を恐れるな」



ドリュー・バリモアと同世代の私としては、フォックス・サーチライトの(20世紀フォックスの)ファンファーレが流れた時点で、初監督作かあ!とじんときてしまった(笑)あれもこれもと盛り沢山の内容が、いかにもドリューらしい。


テキサスの田舎町。17歳のブリス(エレン・ペイジ)は、母に言われるままミスコン漬けの日々を送っているが、やる気はゼロ、結果も芳しくない。ある日、ひょんなことから出会ったローラーゲームに心奪われ、入団テストを受けに隣町へ出向く。


始まってほどなく、友達に突き飛ばされて男の子の胸へ、彼の顔を見上げるエレン・ペイジの瞳、そして会場の電気が落ちる…という、なんてことない一連のシーンにぐっときた。あえて言うなら、見られたり憧れられたりという「対象」じゃない、「自分が主役」の世界の感覚。これってやっぱり気持ちいい。ドリューにずっと映画を作っていってほしいと思った。
主役のエレン・ペイジもとても可愛く、内股気味の彼女が、美容室の洗面台で貧乏ゆすりしたり、レコード棚の前にしゃがみこんで脚を掻いたりという仕草の数々も魅力的(若干浮いて感じられる所もあり)。


それにしても、ローラーゲーム、やりたくなる!楽しそう!選手同士でアザを見せあう姿は、マフィア映画で銃弾や傷の跡を自慢し合う男同士のようだ(そんな映画があるのか知らないけど・笑)。
画面を埋め尽くす女たちは始終群れ合っており、男が入っていけない、という場面が幾つかある。コーチは飲み会に来ないよう言われるし(「でも行く」けど)、司会者は選手を口説いて嫌な顔をされ、ブリスと親友のパシュが働くバーガーショップ?の店長は2対1ということもあり立場が弱い。しかしそれらは明るく処理されているし、真面目に接すれば真面目な関係が生じる。


ブリスの両親役に、マーシャ・ゲイ・ハーデンとダニエル・スターン。帰宅した尻を触り合うのが「おかえり」のしるし。袖なしシャツを愛用し、正装時にはカウボーイハットを被るパパも素敵だけど、作中ではブリスと母親とのやりとりが胸にくる。



「今は非難しないで」
「ママと居ると後ろめたい気持ちになるの」「それは嬉しくないわ」
「私の気持ちを受け入れてくれる?」「難しいけどね」


自分の気持ちを率直に言い合う様子が気持ちいい。この二人に限らず、当然ながら登場人物の信条やセンスはそれぞれ異なっているが、彼等が「接触」をやめることはない。ブリスの「尊敬する人」は始め「アメリア・イアハート」だったのが(この場面において、彼女は例え気が乗らない場でも、本心を表す人間だということが分かる)、そうしたあれこれを経て「ママ」になる。
また、「美しい時は短いのよ」と叱咤激励されたブリスの「ママは今でもきれいよ」というセリフも心に残った。「美」とは誰かがそれを感じた所に生まれるものだから、ママは本当にきれいなのだ。ちなみに私も子どもの頃から今まで、自分の母親は美人だと思っている。



その他、エレン・ペイジを取り巻くのは、「唯一の親友」パシュ(アリア・ショウカット/体型や服装がイイ)、チームの仲間マギー・メイヘムにクリスティン・ウィグ(「アドベンチャーランドへようこそ」感想)。入団テストを受けに来たブリスに声を掛ける彼女、カメラがひくと、その格好が実用一点張りというか、日本で言うならヨーカドーあたりで揃っちゃいそうなのが、分かってるな〜という感じ。
大人の男として、コーチにアンドリュー・ウィルソン(やっぱりウィルソン兄弟は金髪がいい・笑/しかも私、あのジーンズ切ったやつ好きなんだ…)、ゲームの司会者に「2番目のキス」でドリューの彼氏だったジミー・ファロン。
そしてライバルチームの「アイアン・メイヴィン」、ジュリエット・ルイスが最高!ぺたんこの胸がたまらない。「またこんな役か〜!」と私が嫌になるまで、ああいう役やり続けてほしい。
ドリュー自身もチームの一員として出演。後ろに小さく映ってるときでも、しゃがれた笑い声が響いてる。とにかく楽しそうなので、観ているこちらもいい気分。ちなみにコーチが彼女を怒る文句は「また遅刻か!」じゃなく「遅刻がかっこいいと思うなよ!」


写真は昨年秋の米マリ・クレール誌に掲載されたドリュー&エレン・ペイジ。可愛い☆