ATOM


公開初日、ユナイテッド・シネマとしまえんにて吹替え版を観賞。
(日本での公開は吹替え版のみだと思ってけど、いま調べたら、関東では新宿ピカデリーのみ字幕版を上映。ビル・ナイドナルド・サザーランドが喋ってるの、聴いてみたかった…)



鉄腕アトム」についてはほぼ何も知らない。生みの親はお茶の水博士で、「悪者」が現れると戦いに赴く…というような内容だと思っていた。
この映画は(手塚治虫の原作ともまた違うようだけど)、人間とロボットとの要素を合わせ持つ「アトム」が、自分の居場所を見つける話。盛り沢山の内容がうまくまとまってるけど、心理描写はあっさりしている。でも観ていて少々の哀しさを感じた。


(以下ネタばれ…というほどじゃないけど、色々な事に触れてます)


冒頭、色々あって生み出されたアトム(この時点では「アトム」じゃないけど)と「父親」のテンマ博士との二人きりのシーンには、息苦しいほどの閉塞感を覚えた。少年は必然的に放り出され、世界を広げ、やがて「自分の居場所」を見つける。
当初アトムは、自らがロボットだと気付かない。自覚したらどうなっちゃうんだろう、とはらはらしていたら、大して驚かず、悩みもせず、空を舞い岩を砕いて、無邪気に飛びまわる。このシーンにはびっくりしてしまった。
ラストシーンで「これがぼくの使命なんだから」と「皆の敵」に向かっていく姿には、彼がまだ…永遠に「子ども」であるのをいいことに、世の中が「町のヒーロー」を持ち上げているように感じ、少し哀しくなってしまった。あるいはこういうのって、宗教的な感覚なのかな?よく分からない…


自らも気付いていない身体の機能が、状況によって意思と関係なく発露してしまうというシーンには、何とはなしに性的なものを感じた。マシンガンが尻に付いてるから、というわけじゃないけど(笑)


絵柄にはあまり馴染めなかったけど、登場人物はわりと無国籍風。一筆ですっと描かれたようなアトムのアイライン?と眉毛には、オリエンタルな感じを受けた。