最近うちで観たもの


▼フライング・ピクルス

「ハリーとトント」「グリニッチ・ビレッジの青春」などを撮ったポール・マザースキー監督の93年作。ツタヤでうろうろしてて見つけた。DVDになってるとは知らなかった。
主人公はダニー・アイエロ演じる初老の映画監督。低迷気味の彼が依頼されてしぶしぶ手掛けた新作のタイトルが「The Pickle」(原題)。「田舎の若者が大きなキュウリに乗って宇宙へ行く」という話で(それを聞いた彼の母親いわく「…あんた、頭は大丈夫?」)、映画はそのプレミアを前に現地入りした彼の一日を描く。とにかくおっとりした映画だ。
ちなみに「(主要キャストで)映画監督が出てくる映画」なら、私が一番好きなのはやっぱり分かりやすい、ジョー・ダンテの「マチネー/土曜の午後はキッスで始まる」。見かけによらず?常識人で頼りになるジョン・グッドマンがいい(笑)


▼ラブ&デス

ラブ&デス【字幕版】 [VHS]

ラブ&デス【字幕版】 [VHS]

97年作。上の「フライング〜」とムリヤリ繋げるなら「クリエイターが主人公」「映画内映画がある」という共通点が。不意に観たくなって借りてきた。
初老の英国人作家がB級アイドルの青年にひとめ惚れするというお話で、「ゴッド&モンスター」のコメディ版といったかんじ。
とにかく主役のジョン・ハートがチャーミング。ワープロもテレビも持たない浮世離れした作家先生(ビデオを観るのにテレビが要ることも知らず)が、恋におちてスクラップブックを作り、ピザを口にし、やがて彼の住まいを探しに旅に出る。「君を一番理解しているのは私だ」なんて言っちゃう終盤は、観てて辛いけど…(笑)
タバコの吸い方も、笑っちゃうくらいエレガント。しかし頑固で、タクシーの運転手に「禁煙にご協力ありがとうございます」という貼り紙を示されても「感謝されなくていい」と言って火を付けるが、「ダーリン」に止められれば口から離す。そういう恋ってある。


▼ディア・マイ・ファーザー

ディア マイ ファーザー [DVD]

ディア マイ ファーザー [DVD]

現在新作レンタルで並んでいるもの。面白かった。
1960年代のオーストラリアを舞台に、ドイツから移住してきた一家の生活を描く。父親役はエリック・バナ
冒頭、同居人が「イーストウッドの映画みたい」と言う。観終わってみればたしかに、音楽の流麗でないイーストウッド映画といったふうだった。それにしても、冒頭のシーンが最後にあんなふうに活きるなんて、「どんでん返し」的な醍醐味も味わえると言っていいかも。
一家の住まいは田舎も田舎、大草原の小さな家のよう。前半は単純に「人の生活を見る」映画として面白い。
でもって、これほど健気な…言い換えれば、健気でなければ生きてゆけない男の子は久々に観た。半ズボンを履いた後ろ姿の小さなお尻と、「パピィ」という呼び声に胸がきゅんとする。
「神経を病んでいく」母親は、「誰も私のことを必要としてない」と言う。対して父親は「君には俺が必要だ」、息子は「ママには僕がついてなきゃ」と思い面倒を見る。しかし彼女は息子のように環境に順応することができず、最後まで何かを求めながら逝く。端から見たら迷惑千番かもしれないけど、ああいうのってよく分かる。
ちなみにエリック・バナは私にとっては(悪い意味でなく)地に足がついたかんじがしないので、それこそ生きていれば彼の役はヒースにやってもらいたかったなあと思ってしまった。


▼突破口!

突破口! [DVD]

突破口! [DVD]

73年のドン・シーゲル作品。深夜にBSで放映しており、面白く観てたのに、途中で眠ってしまった。終盤どうなったんだろう…。
主人公(ウォルター・マッソー)が仲間と押し入った片田舎の銀行がマネーロンダリングに使われており、マフィアと警察に追われるはめに…という設定は、先日観た「バンク・ジョブ」に通じるかもと思ったけど、マフィアの派遣する殺し屋(ジョー・ドン・ベイカー)が怖くて、「ノーカントリー」を思い出した。
途中に子どもがふらっと出てくるのが印象的。眼鏡のやせっぽちの女の子が、様子見に来た殺し屋に「ブランコ押して〜」なんて頼んだり。でもって、ちゃんと押してやる。