大いなる陰謀


共和党のとある上院議員トム・クルーズ)の手による新たな対アフガン戦略。ニュース番組のベテラン記者(メリル・ストリープ)は彼に呼び出され、国民に流すための情報を提供された。同時刻、カリフォルニアの大学教授(ロバート・レッドフォード)は出席率の芳しくない学生と面談。同じ講義を受ける二人の学生が志願兵としてアフガンに出向いたことを話す。その頃当の二人は、雪山において孤立無援の状態となっていた。



冒頭から、トム対メリル、レッドフォード対学生、という二組の会話がしばらく続く。大御所3人は作中ほぼ座って喋っているだけだけど、そのやりとりから、作品のテーマなど関係なく、それぞれの立場や関係、互いに状況をどうしたいと願っているかを推し量るのがまず楽しい。欧米の映画を観ていて思うのは、(映画を観る限りでは)向こうの人達は、好き嫌いや気が合うといったこと関係なく「会話」をするということだ。
そこにアフガン現地の状況が挿入され、3つの話が同時進行するようになると、場面の切り替えも上手く、飽きさせない。


終盤、監督を手掛けたレッドフォードが「今の決断の責任を一生負わねばならない」「将来性や可能性は消え去るものだ」などと熱弁を振るうあたり、面くらいつつもそのストレートさに好感を持った。
メリル・ストリープは何だかんだ言って好きな女優。取材の後、タクシーに乗り込んで肩を揉む仕草が印象的だった。
トムはだいぶ太っていた。



「人が大人になる、その境界は曖昧なものだ
 問題なのは、いま決断したことの責任を、今後一生負わねばならないということだ」


ドラマ「ヒーローズ」で、悪玉のマルコム・マクダウェルは「幸福な人生と意義ある人生とは違う」と言っていたけれど、同行者はこれを思い出したそうで、この映画の志願兵は貧しいから意義ある人生を求めるのだろうと言っていた。でもって私は意義より幸福を求めるタイプだと。その幸福を求める気持ちや行為が、世界の幸福にもつながればいいと思う。