ロード・オブ・ドッグタウン



ヒース・レジャーフィルモグラフィーをみてみたら、「恋のからさわぎ」(99年)以降、劇場公開を逃した「キャンディ」(DVDは2月発売)以外の未見作はこれだけだったので、借りてきました。2005年作。



1975年、アメリカ西海岸の「ドッグタウン」。サーフショップ「ゼファー」を経営するスキップ(ヒース・レジャー)は「波より道路のほうが多い」ことに目をつけ、スケートボードの得意な3人の少年を引き入れスケボーチームを結成する。斬新な技でアメリカ中の人気を得る彼等だが、家庭の事情や性格の違いにより、進む道が分かれてゆく。


ひとつめ。私はスケートボードのことを全く知らない。知識がある人なら、冒頭の「これは実話」という字幕がなくても、実話に基づいていると分かるのかもしれない。
オープニングにこういう一文を入れることについて、始めにこちらに伝えておく意味があるのか、いつも考えてしまう。今作については、前半は、実話であることを知ったおかげで余計面白くなるわけではない。でも後半、宇宙飛行士と並んでニュース写真を撮ったりするくだりで、当時はこんなにスケボーが流行ってたのかな?そういや実話だったっけ、と思い返す。つまり私にとっては意義があった。


ふたつめ。私は人の顔を認識するのに時間がかかるので、中盤まで少年三人の区別がつかなかった。(全員ブロンドのロングヘアとはいえ、かなりのルックス差があるのに!)。女子についてはもっと苦手なので、最後まで誰が誰だか分からなかった。兄妹でセックスしてるのかと思ったら、勘違いだった。言い訳にならないけど、若い人しか出てこないからというのもある(少年の母親は認識できたもん)。
でもって私にとっては、中盤以降、人の区別がついてくると同時に話が充実してきて、最初から観返したくなる映画というのがある。これもその類だった。


この映画におけるヒースの第一印象は「ジャック・ニコルソンが若いサーファーだったら…」。地元サーファーの親玉で、少年たちの下手な技を見て、皆が散々やじを飛ばす間は黙っていて、最後に大して冴えない文句を言う。ちなみに彼がサーフボードやスケートボードに乗るシーン(写真)が見られるのは冒頭のみで、後は延々と先輩風を吹かせてるだけ(笑)商売のために仲間を雇ってボードを作るが、いい波が来ると皆に海へ逃げられてしまう。白いオーバーオールを着ての作業姿が可愛らしい。
ちなみにヒースが唾を吐くシーンがあるんだけど、昨年末に読んだ「クリント・イーストウッド」(中条省平ちくま文庫)で、「アウトロー」の撮影にあたり、煙草を吸わないイーストウッドは数ヶ月間、噛みタバコの汁を吐く練習をした…というくだりがあったのを思い出した。ヒースのあれは一発で決まったんだろうか?(笑)


少年達の練習場は水を抜いたプール。スケートボードでぐるぐる回るシーンは、映画版スパイダーマンの跳躍シーンにも通じる…それをもっと、身近に切実に感じられる面白さ。
かっこよくて技のある男の子に女の子たちが寄ってくるシーンや、その際のやりとりがとても自然で、そのあたりも観ていて気持ちがよかった。