スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師


19世紀のロンドン。悪徳判事の策略により妻子を奪われた理髪師が、名前を変えて15年ぶりに戻ってきた。彼「スウィーニー・トッド」(ジョニー・デップ)は、パイ屋の2階に店を構え、宿敵ターピン判事(アラン・リックマン)への復讐に燃える。



黒い空から降る血が下水まで流れ、歯車で動く機械からミンチ肉が押し出されるオープニングの映像に、「ピーウィーの大冒険」(ティム・バートン85年作)の朝食作りマシーンを思い出した。流れ行程というのか、ああいうの好きだよな〜。
登場人物では、判事のおつき・ティモシー・スポールの前歯と、人肉パイで儲けるヘレナ・ボナム・カーターの海辺のしましまソックス(立派なふくらはぎ!)が印象に残った。
使い走りの少年トビーが可愛らしく、前半から応援してたので、ああいうラストで安心した。
彼は、孤児院→インチキ美容師、という境遇から自分を救ってくれた(と思いこんでいる)奥様のヘレナ・ボナム・カーターを崇め、彼女が想いを寄せるデップに嫉妬する。暖炉の燃える部屋で、ボーイソプラノで「あなたを誰にも傷つけさせない〜」と歌うシーンが楽しかった、というか羨ましかった(笑)作品中、この場面でのヘレナが一番美しく感じられた。恋にくるっていない女の、落ち着いた顔だった。


デップとアラン・リックマンは美しい女性を愛することの幸せを歌うが、当のジョアナの幸せは何なのか、考えてしまった。彼女は窓から見下ろした美しい船乗りに、自由以外の何かを感じたのだろうか?


それにしても、ティム・バートン×ジョニー・デップの映画が大盛況だなんて、やっぱりふしぎな気がする。デップに関して、1974年うまれの私は、自分含む「70年代前半うまれの女性」が彼の主なファン層と認識してるけど(私は彼に男性的魅力は感じないけど、なぜか「共感」のようなものは感じてしまう)、それこそ「自分だけの当然」で、映画館には広い世代が彼を観に来ている。


(復讐のためと称し金持ちを殺しまくるジョニー・デップに対し、ヘレナ・ボナム・カーター



「…本当は、奥さんの顔なんてもう忘れちゃったんでしょう?」