円丈十番勝負


(携帯から覚書)


開口一番(三遊亭ふう丈「電気ショック」)
三遊亭円丈「稲穂のじゅうたん」
昔昔亭桃太郎「金満家族」
(中入)
三遊亭円丈「ドラマチックENJO」
(11/25・日本橋社会教育会館)


・円丈を追ったテレビ番組「ザ・ノンフィクション」は「これからは記憶力の衰えを(「新しもの好き」の円丈らしく)タブレットを利用することで補っていく」というくだりでシメていたけど、私もその高座、見たいのに全然遭遇しないなあと思っていたら、この日はタブレットを使わなくなった理由を聞くことが出来た。ここには書かないけど、なるほどと嬉しかった(笑)


・珍しく空席の目立つ場内を見て「人見知りだからこの位の方が力を発揮できる」。皆は笑ってたけど、隣の同居人は真面目な声で「その通りだよね」とささやいてきた。次いでいわく「冒険ばかりするけど成功しない」(それ、知ってる!笑)中入後が「冒険」なのはともかく、古いネタらしき一席目も「後は暗記するだけ、のところまで到達したのは今朝」という「冒険」具合。


・「稲穂のじゅうたん」ではいかにもな「ちくわとはんぺんの喧嘩」「エビフライの脱皮」などの形態模写?が見られる(笑)噺の内容はともかく、いつもより格段に、順調に進むので驚いていたら、ファンにもらった集中力が続くという薬を飲んできたそう。そういうのが好きなのは円丈らしい、「池袋演芸場程度の入りなら飲むのは勿体無い、半分でいい」というケチさは私みたい(笑)


・「ドラマチックENJO」って何かと思えば、「考えてみたら自分の人生もドラマチックだ」と箇条書きふうに語っていく、たまにある形式のネタ。内容は「大角(本名)家の人数は5を越えない」「鬱を自分で治した」など。そんな話でも彼のファンは笑うというのが面白い(私は笑えない)最後は「こんな暗いネタばかりじゃあ終われない」と繁盛亭の提灯ネタでシメ。勿論、円丈らしいのはそれ以外のもの。仮説を立てたり自分を実験台にしたり、変な言い方だけど「生きてる」なあと思う。


・この日の私の席は二列目のど真ん中、高座上の人のほぼ真正面といういわゆるベストポジション。とはいえ「普通」は上下を切るから目はそう合わないものだけど、この日の円丈のネタは二席とも殆ど上下を切らないもんだから、ずっと顔、見っぱなし(笑)なんだか妙な気がして、途中で理由に気が付いた。


・ゲストの桃ちゃんは開口一番「天才落語家の会に呼んでいただいて」…の後に楽屋でお弁当が出なかったネタを引っ張る(笑)「冒険」の合間の百年変わらぬネタ(所々に時事ネタが入るのが却って「変わらなさ」を意識させる)は寄席ふうの笑いの渦を巻き起こす。円丈は他の落語家さんが受けてると気にするタイプらしいけど、今日なんかは同じ「新作派」でも生息地が違うから大丈夫だよなと勝手に安心していた(笑)