ワイルド・スピード SKY MISSION



オープン当日のTOHOシネマズ新宿にて観賞。
私が「車映画は苦手」だと知っているのに、「でも今回だけは見たい」のは知らせずにおいたのに、密かにチケットを予約しておいてくれた同居人は偉い!真新しい映画館の椅子に座れて嬉しかった、私で何人目かな、なんて思った(笑)


ワイルド・スピード」シリーズは1作目と3作目をソフトで見たことがあるのみだけど、全然楽しかった。もう「カーレースの映画」じゃなくなってたけど、登場人物が乗り込むと車と一体化するというか、(何人乗っていようと)車が「人」のように感じられるのが面白い。「囲まれて怯えた鹿みたいに見える」画なんてまさにそうだし、二人が道を分かつラストシーンもそう、時折「カーズ」を見ているような気になった(笑)


「車が人のように見える」のは、感情を具体化したとでも言うようなカーアクションゆえでもある。「思い通りに体が動く」どころか「車が動く」んだからそりゃあ爽快感がある。運転席で「ていやー!」と叫びながら他の車に飛びかかって行くのには笑ってしまった。アブダビのホテルに着いて横一列に並ぶ様は、色とりどりなのも手伝って戦隊ものの登場シーンのよう。この映画の車絡みのシーンって、車という「スーツ」を装着して強くなった人間によるアクションなのでは…って「道具は人間の身体の延長」なんだから一周回って当たり前なのか。


中盤のカーチェイスは、私としては「ローン・レンジャー」のクライマックスに肉薄する…敵わないけど比べてもいいかなと脳裏に浮かぶくらいの面白さ。「後続車に飛び移ってしがみつくも(本作の場合は互いに「味方」ながら)振り落とされそうになる」なんて今更何の新鮮さも無いのに、延々と続くその描写の不思議とわくわくすること。「コミカル」さが絶妙なせいかな。気持ちが高まっちゃって、運転席に座ってるステイサムの横顔を見ただけで笑いが止まらなくなる始末(笑)


映画が始まって早々のロック様対ステイサム戦も楽しいけど、よかったのはミシェル・ロドリゲスロンダ・ラウジー戦(「エクスペンダブルズ3」に出てたあの人だとは気付けず)。女同士の闘いと見れば何であれ「キャットファイト」とカテゴライズする輩が私は大嫌い、この戦闘シーンなんてとてもそうは言えない。ミシェルはともかくロンダの重量感と、二人のドレス姿が最高。ミシェルがロンダの部下らしき女の股間をあっさり蹴るのもいい、女の股間がアクションやギャグの要員になるのは嬉しいものだ。彼女の闘いぶりには「花のあすか組」を思い出した(笑)


それにしても、あまりに「ファミリー」映画だった。ヴィン・ディーゼルの「俺に友人はいない、いるのは家族だけだ」という台詞にはびっくりして、「家族」を作らないと生き抜けないのかと世知辛さを感じてしまった。とはいえマフィアものなどと違って、このファミリーには私でも入れそうな気がして見ていて気持ちがいい。「日本人」で「女」の私でも仲間になれそうな感じ…つまり、色んな人種が居て、女も「構成員」である(「妻」であっても「蚊帳の外」感が無い)。あのファミリーに入りたいかっていうと別に入りたくないけど(笑)選択肢があるってことが大事だから。


「ファミリー」と豪華ゲストの全員に、この人ならこれでしょう、という見せ場があるのが楽しい。出てると知らなかったカート・ラッセル!を最後に劇場で見たのはミラノ2での「ポセイドン」(06)前夜上映だったので、また歌舞伎町で会えて嬉しい。無理やり軍に入れられたビル・マーレイみたいな風貌になってたけど、執拗なウインクと銃をがちゃっとやる仕草が見られてよかった。カートのこと、やっぱり好きだからね。