この落語家を聴け! 古今亭志ん輔



開口一番(林家けい木「ん廻し」)
古今亭志ん輔「七段目」
インタビュー(聞き手 広瀬和生)
 (中入)
古今亭志ん輔文七元結
 (1/28・北沢タウンホール


インタビューの内容は志ん輔が「仕掛け人」である連雀亭の事に始まり、「二つ目の支援」繋がりで師匠・志ん朝の話題へ。「まず『弁明』から」と言うので落語ファンに対してかと思いきや、師匠へのものだった。いわく「何も教えてもらっていないと思っていたけど、身近すぎて気付かなかった、後で他の人に言われてそういえばと思い出すこともたくさんあった」。
「教えてもらったこと」のキーワードは「合理的」(「舟」の漕ぎ方)「芝居」(物を見る時の仕草)等、高座での「見た目」に関することが多く、私が志ん朝に触れられるのが主に音源を介してだけなのがとても寂しくなった。他にも亡くなる前夜の出来事や「しくじり」についてなど、どれも面白かった。


志ん朝についての話を楽しく聴いている内あっという間に一時間が経っており、終演予定時刻から「文七元結」に突入。少々の緊張が見られたのは、こんなことを教えてもらった等と散々話した後だからかな(笑)
この噺って今(の私が)聴くと、毎晩博打の上に「ぶったりけったり」の夫と妻とのやりとりなんて全然笑えないし、話自体も「DV加害者は外面はいい」なんて事が思い浮かんでしまう(例え「お久は死ぬことはないけどお前は…」というセリフがあっても)。だから「マッドメン」式とでもいおうか、現代ぽいくすぐりを入れるより江戸時代の噺だから!と演り切って欲しい。志ん朝は「江戸の噺をぱんぱんにふくらんだ風船だとすると、ちょっとだけ現代の穴を空ける、その程度が丁度いい」と言っていたそうだけど、その「具合」は「今」でも通じるものだろうか、と思いながら聞いていた。まあ「通じる」世界の文化である、と言ってしまえばそれまでなんだけども。