円丈十番勝負


開口一番(三遊亭ふう丈「穴子でからぬけ」)
三遊亭円丈「夢一夜」
春風亭昇太「宿屋の仇討ち」
 (中入)
三遊亭円丈「淀五郎」
 (7/18・日本橋劇場)


まずは着物姿の二人によるトーク。昇太が開口一番「師匠は勝負ばかりしてますね」と言うので笑ってしまう、確かにそうだ。立場上というのもあるんだろうけど、円丈は相手が誰でも仕切りを任せてしまうので、今回も(同居人いわく)「どっちがゲストなんだ」という状態(笑)
「年を取って暑さを感じなくなってきた」という円丈の一言から、話題は「理想の死に方」へ。その後に上った円丈は「何か軽い噺を」と、「高座で死ねたら本望などと言うキザな噺家がいるけど…」という枕から「夢一夜」。末期ガン患者が金に物を言わせて自分好みの派手な最期を遂げるという噺。「由来の一席」なのが円丈らしい。
その後に上った昇太もトリビュート企画でこの噺を演ったことがあるそうで、「師匠のネタは骨格がしっかりしてるから、いじらなくても受ける」。円丈にしては派手な言い立て?など無いけど、確かに全然面白かった。
枕は故郷の静岡について。「新幹線に乗ると、いつまでもだらだら静岡でしょ?」という言い様がいかにも昇太らしい(笑)「東海道五十三次の内、二十幾つが静岡にあるんだから…」と「宿屋の仇討ち」。昇太が演るなら、登場人物のキャラクターが多岐に渡らない方が好みだけど、これは楽しかった。


円生の十八番だった「淀五郎」を、円丈は「ナマでは十回ほど聴いたことがある」。「円生のをいじらないようにギャグを付け足すと長くなっちゃう」と言うのを聞いて、円丈の古典って、いわゆる「円丈チルドレン」とは何か違うと思うんだけど(上手い!とかじゃなく・笑)、やっぱり習った人が違うってことなのかな、とふと思った。
円丈の古典といえば「ギャグが入る」「分かりやすい」。前者じゃ「真景累ヶ淵」で浮きまくっていた「おじおじおじ」が忘れられないんだけど、今回は切腹時の三三七拍子(「お前は切腹応援団か!」)がそれに当たるかな。全編に渡って笑いのある噺なので、これは浮いてない(笑)ストーリーはとても「分かりやす」くなってたけど、「居残り佐平次」でも頑なに(「下地」じゃなく)「醤油」を使っている位なのに、「せいたい」などの専門用語がそのままなのでぴんとこなかった。換言出来ないから仕方ないか。
オチは「待ちかねた」じゃなく「目黒」絡み、キュートでいい。冒頭のトークで出た、二人が住んでいる足立区と世田谷区の話題もここでちょこっと生きてくるのだった(笑)