ブラック・ブレッド



ダイジェストを見てるような、絵本を高速でめくってるような映画だった。見辛くはないし、私はせっかちなので苦にならなかったけど。従姉妹が学校の先生と「関係」を持っていること、彼女に両親が居ないことがいずれもセリフによって分かり、他の子どもたちが走り去った後に裸の天使が視界をかすめるなんて、あまりの展開の速さに笑いそうになってしまった。主人公が行く先々で色んなものに遭遇するので、なんだかテーマパークに来たみたいだなと思う(笑)
高速映画だからいきおい、たっぷり撮られてるものが目立つ。悪魔のチョコレートの場面とか(チョコの起源はスペインだそう)。


物語の舞台は1940年代、スペイン内戦後のカタルーニャ。主人公の少年アンドレウが祖母の家に引き取られて来た日、彼女は「男手が欲しいのに子どもばかり増えて」と愚痴る。後にアンドレウと母が面会に行くと、男盛りが牢にぎっしり詰め込まれている。そんな時代だ。先生が口にするように「勝ち組」と「負け組」の差は激しい。どちらのクラスの「学校」も見られるのが面白かった。


アンドレウは父親に「好奇心を持つな」と言われる。しかし、大人たちに「ここにいなさい」「何見てるの!」と遠ざけられても、彼はじっとしちゃいない。一度だけ、怪しい物音に夜中のベッドでぎゅっと目をつぶるが、思い直して探りに行く。
彼が「好奇心」を持たなかったらどうなっていただろう?と思ったけど、どのみち一番の「真相」は、来訪者によって「子どもも受け止めるべき」と目の前であっさり明かされてしまうのだった。そう考えると(原作通りだとしても)少々拍子抜けする。