クイック!!



楽しかった〜上出来上出来!という感じ。「TSUNAMI」の監督がプロデュース、主役二人が再度共演したアクションもの。凄腕ライダーとアイドル歌手が、爆弾魔に脅され爆弾を配達して回るはめになる。


冒頭、アイメイクが涙で落ちて喜劇調になってる女の顔、やがて彼女の乗ったバイクがトラックの下に直角に滑り込むのを、前から後ろから上からと見せてくれるところで、こういう映画なんだなと分かる。エンディングには久々の(私は「マッハ」ぶりかな?)NG集、といってもほぼスタントマンによるもの、最後に両足骨折しつつ「命を捧げます!」と言ってるらしいスタントマンの病室を監督と主役二人が見舞って「クイック!ファイト!」で終わり。最初から最後まで泥臭い。


「ハリウッドの最新システム」で撮影されたというアクションシーンにも、ハリウッド映画とは違う「身近」感というか、手を伸ばせばさわれそうな感じがある。って、触りたくないけど(笑)
何たって第一の見せ場が、「Misirlou」のばったもんの更にばったもんみたいな音楽に乗せて、口開けたアホ面×たくさん、疾走してぶつかりまくる乗り物×たくさん、逃げ惑う人々、ダンボール、万国旗、消火栓、とどめにデブの頭に生ゴミのバケツ!なんだからたまらない。
一つのネタをしつこく引き伸ばすのも特徴だ。「スピード」よろしく走ってる車からバイクに乗り移ろうとする場面(道に立ってるおっさんが「マトリックス」状態になる)や、高速道路で居眠り運転のトラックの荷台からガスボンベが次々落ちてくる場面、あんなにひっぱるなんて。でも面白いからいい。
しかも最後に主人公はバイクを捨て、列車パニックものに。一本の映画で美味しすぎる。


息詰まるクライマックスでも、「間抜け」による笑いを忘れないのがいい。この時代に加藤茶ばりの「くしゃみ」に爆笑させられるなんて。ある場面では「トップ・シークレット」の水中西部劇を思い出してしまった。その後のオチにつぐオチも楽しい。
コメディ部分をほぼ一手に引き受けるデブの警官(元「暴走族」)役のキム・イングォンは、いま調べたら、「TSUNAMI」でライター点けたら大爆発!のあの間抜け役。何度も繰り返される「頭がでかくてヘルメットが被れない」ネタが活きてくるラストには感心(笑)


詳しくは書かないけど、「犯人」の正体が私には新鮮だった。「こういう映画」であることを逆手に取ってるのか、あるいは何も考えてないのか(笑)ともかく足元を掬われる。
「日本人役」の役者さんの全然聞き取れない日本語に字幕が付いてたのも有難い。いつも悩まされてるからなあ。