スリーデイズ



公開二日目、ミラノ1にて観賞。ぼちぼちの入り。
昨年のお気に入り映画ベスト10の一つ「すべて彼女のために」(感想)のアメリカ版リメイク…ということで、比べながら観てしまった。脚本・監督にポール・ハギス


開始早々、ラッセル・クロウ演じる大学教授の主人公は授業で「ドン・キホーテ」を取り上げ、「理性を無くすことで難局を乗り越えられる」とか何とか露骨なセリフを口にする。ということは「理性的」な世界を前提としてるわけで、主人公と他者とのやりとりがミニマムだったオリジナルとは違い、登場人物全てが「理由」を持ち、肉付けがなされている。
それが130分超と長くなったゆえんかな?こちらでは一つ一つの山がでかい。泥臭い失敗!カーアクション!など長丁場のサスペンスを持続させてるのはすごいけど、さすがに最後の方は飽きてしまった。


オリジナルでは、妻は面会時にまず夫に抱きつく。夫はホテルで一息ついた妻の姿に見惚れる。二人の間の子どもは単に一つのキャラクターだし泣き叫びもしないので邪魔にならず、そこが観ていて気持ちよかった。こちらでは二人の息子に重点が置かれているだけでなく、「子ども」がちょっとしたキーになっている。悪者の嘘のくだりには少々白けてしまった。
本作でも、夫は病院のエレベーターで、混乱する妻に対し「俺を見ろ」とキスをする。一騒動の後、妻は指輪をはめた手を夫のそれに寄せる。しかしあくまでも、「家族」としての二人を描いているように思われた。逃亡後ホテルに落ち着いてからの場面にも、それが表れている。
すべて彼女のために」では、脱獄アドバイザーが主人公に「相手は国家だ」と念を押す。私は「男と女」が「国家」に逆らう、そちらの物語の方が好みだ。本作には、家族も国もまあ色々あるよね、という空気を感じた。


オリジナルで印象的だった、教員の主人公が授業中に計画を練る場面と、彼の父親がジャケットの(以下略)という場面が残ってたのが嬉しかった。
ラッセルに関しては、もう少し若くて新鮮な感じの役者で見たかった。オリヴィア・ワイルドの方とも、年齢差ありすぎるし。
妻役のエリザベス・バンクスはオリジナルのダイアン・クルーガー同様、投獄後もそう顔が変わらない(元々整っている&「普段」もそう手をかけていない)。夫がちょっと外してる間に化粧で大変身してるような女性でも面白いのに、と思う(笑・だって、車で待ってる間にせっかくの化粧ポーチを使うべきじゃん?)