円窓・円丈二人会


古今亭志ん弥「野ざらし
三遊亭円丈居残り佐平次
三遊亭円窓雛鍔


落語協会による復興支援寄席の一つ。早朝含め「寄席」の時はお客さんが満遍なく散って座ってるけど、この日は半分ほどの入りとはいえ最前列からみっちり埋まってて、「落語会」だとこうなるんだ〜と面白かった。
志ん弥さんは髪型も着物もいかにも涼しげ。円生襲名問題に関わる二人の会ということで「自分が呼ばれたのは腕っ節が強いから・笑」と簡単なマクラの後「野ざらし」。途中ふと何の噺だか忘れてしまうくらい、熊さんが破天荒で楽しい。


円丈は先のマクラを受け「入ってくるお客さんの顔がマジだったけど、ただの兄弟子との会ですよ・笑」「明日は新作のネタ下ろしなんだけど、円生が見てたら嘆くだろうなあ、あんなにたくさん古典教えたのにって…(と物真似)」「今日は師匠に敬意を表して古典をやりましょう」と恒例の眼鏡カウントダウン。
自身が入門した頃は、寄席の昼夜通じて4、5本は女郎買いのネタが出てたんだとか。「当時は皆『現代の話』として聴いてたんですね」「これは一円といってもアルミじゃない、水に浮いたりしないような時代の噺です」。
師匠譲りの、要するに「普通」の筋を現代語で演ってるだけなんだけど(「下地」も頑なに「醤油」、そういや初めて聴いた時は分からなかったものだ)、あんなに気楽に聴けて楽しい佐平次ってない。ギャグを入れるわけでもない、何でもないやりとりが味わい深く、場内は沸きっぱなし…ってファンばかり来てるからか(笑)円生が評価してたという「フラ」ってこれなのかな、なんて思った。


トリの円窓は、著書こそ読んでるけど観るのは初めて。好きな講談の話から「講談は成功談、落語は失敗談。民主主義が広まるにつれ、失敗談の方が面白いってことになったんでしょうね」と「雛唾」へ。貫禄ある高座、とても贅沢な会だった。