スカイライン −征服−



バルト9にて観賞、土曜の夜の回は満席。
「SFもの」ということしか知らずに観たけど、面白くって驚いた。私にとっては全てが、これ以上ないほど「的確」だった。
もっとも、楽しめた理由としては「『宇宙』『クリーチャー』に興味やセンスがないので造形その他が目に入らない」「普段あまりSF映画を観ないので「既視感」がない」というのも大きいかも(笑)


とくに今こんなこと言うの不謹慎だけど、昔から、家の中に閉じ込められて出られないっていう状況に多大なロマンを感じる。だから、高層マンションに篭城というチープな設定がたまらない。得られる情報はブラインド越しに盗み見る視界のみ、テレビの中には無人のスタジオ、遠くのビルの屋上に何だか分からないけど立ってる男達、全てがツボ(「ミスト」じゃ色々想像しすぎちゃうってもの・笑)
外の「脅威」は何だっていいのだ。部屋の中を探る手?、逃げる人間を捕まえる舌?、駐車場から出ようとする車は捕らえるが屋内の車には気付かない大きな体?など、とりあえずぎゃーぎゃー言わせてくれれば。


そこに投入されるのが、ちょっとしたドジ(屋上のドア!タイマー!バカ!)、「身内」以外の登場人物、犬。私にも登場時から見分けのつく女三人。ちょこっと効果のあるスローモーションと、全く意味のない早回し。どれも適切に感じられた。
「光を見た」後の映像については、「ヒアアフター」しかり、ああういブナンぽいのがいいんだよ、と思うし、毎度引っ掛かる「中出し」問題についても、100歩譲ってこういう映画でしか許されないんだよ!と思う。


笑いながら見るような映画じゃないけど、「むちゃくちゃ怒ってるぞ!」は今年笑えたセリフ一位の候補かも。終盤、斧→コンクリ→素手!?で「この映画、もしかしてしょぼいんじゃ…」と我に返ったけど、そこからはもう「オチ」に入ってるからいい。これが落語なら、現実世界に観客を帰してくれる、娯楽の正しいあり方だ(笑)