バーレスク




「皆の利益を考えてるのに、何が悪いんだ?」
「あなたが好きになれないだけよ」


丸の内ルーブルにて。レディスデーのためか満員だった。
年の瀬にぴったり、豪華な隠し芸大会って感じでとても楽しい。途中でトイレ行ったり飲み物取ったりしても、話に付いていけるだろうし(笑)


バーレスク」のオーナー、シェールが舞台に登場した瞬間が一番アガった。残念なことに彼女の「ショー」はこれ一度のみ、もっと見たかった。前半はクリスティーナ・アギレラ演じるヒロインのアリ主役のショーがばんばん繰り広げられ、女体にも飽きてきた頃にシェールが渾身の一曲、その後は諸々ケリつけます、といった感じ。
「アリだけ皆から浮いてるわ」と文句をつけてみせるシェールに、ショーン(スタンリー・トゥッチ)は「昔の君と同じじゃないか」と言う。ヒロインが「昔の私に似てる」のは、「プラダを着た悪魔」のラストのセリフにもある「お約束」。またアリの「初舞台」シーンには、それを見つめるシェールのカットが何度も差し挟まれるが、アイホールに光るシャドウが涙のように見えた。
それにしても、シェールからメイクブラシをもらうなんて「女の夢」じゃないか(笑)こういうちょっとしたシーンがいいんだよなあ。


アリは、やり手ビジネスマンのマーカス(エリック・デイン)の「人生において欲しいものは何か」という問いには答えない。今の彼女にとっては、それよりも「誰を選ぶか」の方が重要なのだ。終盤とある人物がバーレスクについて「ホーム」という言い方をするけど、これは「私の居場所」を求めて家を出てきた主人公が「それ」を見つける物語で、いわゆるサクセスストーリーじゃない。予告編からはそうと分からなかったので、面白く感じた。もっとも、こうした世界でその二つを両立させることはできないと言っているようにも思えた。


バーレスク」の舞台監督を務めるスタンリー・トゥッチは誰に対しても「一夜の男」であり、オーナーのシェールとは「男女の仲」でなく「相棒」として今後も続いてくものと思ってたら、終盤「パートナー」になりそうな相手が出現するので、なぜそんなものが必要なんだ?とちょこっと引っかかった。