遠距離恋愛 彼女の決断


サンフランシスコ在住、新聞記者を目指す女と、ニューヨーク在住、レコード会社勤務の男が出会う。6週間後には離れ離れになる身だが、気の合う二人は恋に落ち、「遠距離恋愛」が始まった。実際に恋人同士だったドリュー・バリモアジャスティン・ロング主演、「アメリカン・ティーン」(感想)のナネット・バーンスタイン監督。ドリューの毎度の大口開け笑い、「お行儀の悪い」言動を楽しんだ。



出会ってすぐに一夜を共にした男の部屋は、ベッドの横にいきなりCDラックとギター(職業柄とはいえ…それにしては数が少ないけど)。年を取るにつれ「会ってすぐセックスする場所がそういう部屋」であることって、少なくなってくるものだ…と思っていたら、ドリューの役柄は「回り道した、31歳の大学院生」。「回り道」についての彼女自身の考えは、セリフで少々触れられるのみで、深刻には扱われない。私も別段どうってことないと思う。そこそこ生きてるけど社会的には「若い」、そしてその「若さ」を悪びれない二人の物語だ。


冒頭、ジャスティン・ロングは「運命の人」じゃないガールフレンドに別れを告げられる。「ああいうこと、ありそう」と思わせる「リアル」なエピソード。こういう風に進んで行くのかと思っていたら、中盤いきなり、中年男性が二人ががりで彼に「結婚は地獄だ」と迫る。突然の記号的なコメディタッチは「リアル」路線としっくり来なず、お尻が落ち着かなくなった。


物理的な距離に耐えられなくなった二人は、互いに考え、意見を述べ合い、なるべく「一緒」にいられる道を目指す。彼らの「事情」とはイコール「仕事」…「不況下での仕事」のみだ。単に「恋か、仕事か」なんて言われると人生そんなもんじゃないだろ!と思うけど、物語として提示されると、「リアル」に感じられ、心を動かされる。