ブラインドサイト 小さな登山者たち



そういえば観逃してたなあと、ツタヤの店頭で思い出して借りてきた。盲目の子どもたちがヒマラヤ登山に挑戦する姿を追ったドキュメンタリー。面白い内容だったのでメモ。



「正しいことか悩んでるの、本当に子どもたちのためにしてるのかって」


山の風景も美しいけど(撮影は「運命を分けたザイル」(大傑作/感想)のカメラマン)、山岳ものではなく、教員など子どもに接する者の心構えについての映画だと思った。実際作中では子どもの姿と同じくらい、同伴する大人たちの意見交換の様子に時間が割かれている。
発端は、チベット初の盲学校を設立した、自身も盲目のドイツ人教師サブリエが、盲人初のエベレスト登頂に成功した登山家エリックに連絡を取ったこと。彼は子どもたちのヒマラヤ登山を提案、興味を持った少年少女6人が参加することになる。
しかし道中、「皆で一緒に楽しく登ること」を目的とするサブリエや同僚と、「何かを成し遂げることこそ素晴らしい」と考えるエリックとベテランガイドたちの意見が対立する。ガイドの一人いわく「現地の人たちは山に興味がない、登山を始めたのは西洋人だ、ぼくたちにとって、頂上に立つことに意味がある」。教員は何をおいても安全第一と思ってる私は、サブリエに賛成してしまうな。



「歩いてるだけじゃつまらないって、子どもたちも言ってる。私たちは時々立ち止まって音や匂いを楽しみたいの。つららの落ちる音、ヤク(荷物を運ぶチベット牛)のベルの音、どれも美しいわ」


サブリエのこのセリフに、そもそも登山の楽しみ方が、盲人とそうでない者とでは違うということが分かる。もっともこのセリフ以外に、盲人ならではの登山のあれこれが映されるわけではないので、エリックの著書かドキュメンタリーも見てみたいなと思った。


その他、サブリエが盲学校で教師に言われたという「技術は全て教えるから、自分に合っているのはどれか考え、限界を知りなさい」という言葉や、終盤体調を崩した子どもに対し、彼女が半ばヒステリックに「言葉にしてくれないと分からないじゃない!」と繰り返すシーンも印象的だった。