圓朝祭 初日



柳家三三かぼちゃ屋
三遊亭白鳥「札所の霊験みたいな話」
桂米團治「親子茶屋」
林家正蔵「お里の伝」
 (仲入り)
柳家喬太郎「派出所ビーナス」
柳家さん喬鰍沢


焼けるように暑い日、三三の季節感ある噺で幕開け。
白鳥さんはほぼネタ下ろし?元ネタ・圓朝作の「札所の霊験」は江戸に出てきた下級武士が遊女にもて遊ばれるのが発端だそうで、「圓朝が主人公の出身地として選んだいわば『日本一の田舎』が(自身の出身地である)高田」。加えて、後の喬太郎が「今保護しなきゃいけない『池袋的なもの』は三遊亭白鳥」と言ってたように、ホームタウンでの高座だから、怖いほど全てがはまっており、この日この時の白鳥さんは無敵。めちゃくちゃ面白かった。ちなみに後半の舞台はあの「江古田コンパ」(行ったことないけど、こんな店・笑)
米團治は父・米朝の話をマクラに。初めて聴いた「親子茶屋」は鳴り物たくさんの華やかな噺。一つくらいこういうのが混じってると楽しい。
正蔵が演った「お里の伝」は、圓朝作「操競女学校」からの一遍だそう。パンフレットに「貞婦や孝女を主人公にした教育的な面も」とあるように、しっかり者の美女が親の仇を討つ。こういう教育的で辛気臭い噺って好みじゃないけど、いつもながら頑張ってるふうなので興味深く聴く。全篇真面目くさった雰囲気の中、お里が親の仇を探し当て素性を確かめる場面において、二人の会話に「婆」が茶々を入れてくるんだけど、笑えそうで笑えずもやもやさせられた。トリのさん喬は、似たような箇所で空気を読み、次のセリフをわざとらしいほどお笑い風にしてちゃんと笑わせてくれたので、やっぱり上手いなあと思った。


喬太郎は登場するなり「豪華ゲストを迎えてのさん喬・喬太郎親子会へようこそ」。たしかに後半だけでも超たっぷり!「前半の皆が短かったので…笑」と得意の池袋ネタを長めに振ってから、「池袋駅前交番」が舞台の噺。「今はこんな女いねえよ」(喬太郎の噺に出てくる女って確かに古い。それが味)「この話題は引きますね」などと客を見ながら話を進める。
さん喬が登場すると、照明が落ち、マクラなしで「鰍沢」へ。静かに聴き入った。最後のお熊の叫びが、同居人いわく「反響してるようだった」。