春だドリフだ 全員集合!


「落語映画は花ざかり」特集というので、初めて神保町シアターに行ってみた。


ドリフターズの主演映画が作られたのは67年から75年までだそう。74年生まれの私は、テレビの再放送?で幾つか観た記憶がおぼろげにあるだけ。長さんが火葬場で焼かれるシーンはハッキリ覚えている。


本作は71年制作。「『道具屋』しかまともにできない20年目の二つ目」の「いかり亭長楽」(いかりや長介)、騙されてその弟子となった「いかり亭茶楽」(加藤茶)、長楽とは「一緒に隅田川の産湯を使った仲」の今川焼屋主人(高木ブー)と遊び人(荒井注)、長楽の隣に越してくる学生さん(仲本工事)らのドタバタ劇。ヒロインに長山藍子


おそらくドリフターズ主演の他の映画もそうなんだろうけど、コントの場合と同じく、「善人」は存在せず、たまたま立場が上の長さんが威張り散らすも反撃される、というのがギャグになっている。「虐げられ、逆襲する」のは茶の役目。最後に長さんが「このままでは終わらないぞ!」とどアップでシメるのが気持ちいい(笑)クライマックスのどたばたはしっかり、私の知ってるドリフ風味(以下参照)。


↓作中より「ドリフのツーレロ節」



落語ネタについて…といっても私は落語聴き初めて2年程しか経ってないし、ナマで観ることしかしないので、当時の色んな落語家が出演してるんだろうけど分からなかった。
冒頭の舞台は伊賀上野。ストリップ小屋で高座に上った長さんが「早くヌードを見せろ!」などとヤジを飛ばされる様は、円丈がかつての浅草について語るマクラみたい(笑)
長さんの師匠役に円生。歯並びがわるい!どアップで見たことないから知らなかった。とても愛嬌がある。タバコを手に淡々と「マクラなんていいから、ほかのとこやってみな」…フィクションだけど、もしかしてこんなふうに弟子に接してたのかも…なんて思ってしまう。ネタばれになっちゃうけど(今後観る人も少なそうだから書いちゃうけど)、ラストの「真打ちにするのは破談です、私は落語連盟を辞めます」と言うセリフには、しんみりしてしまった。
長さんの弟弟子ながら成長めざましい噺家左とん平。「らくだ」がおはこ。ちなみに彼と想い合う長山藍子との会話「今頃らくだでもやってんのかと思ったら、聴きに行きたくなっちゃって…」「どうして分かった?らくだをやったんだよ」…噺家との恋ってそういうものなのか(笑)
作中出てくる寄席は、浅草演芸ホール末廣亭、後者が主。周辺の様子も今とは全然違うし、中もとても狭く、座席が横5列しかない。楽屋も何度か登場し(本物かな?)、お囃子さんが並んで鳴らしてる様子や、円生の出勤?風景が見られる。作り物なんだろうけど、ネタ帳もちらっと映る。
茶が出囃子の太鼓をおかしく叩いて、高座に上った長さんが踊ってしまうシーンは、ドリフのコントそのもの。その後の「へんなお茶」はさながら「くしゃみ講釈」。
ちなみに長さんが作中長々とやってた「二十四孝」という噺、初めて聴いた。


当時の有名人がたくさん出てるんだろうけど、いかんせんリアルタイムじゃないから分からない。荒井注に「注さんは死んだ顔が似合うわね」と言う(たぶん二人組の片割れの)女の子は誰なのかな?