三遊亭円丈・白鳥親子会



三遊亭白鳥「ナースコール」
三遊亭円丈「ランゴランゴ」
 (仲入り)
三遊亭白鳥「いたちの留吉」
三遊亭円丈「ペコペコハウス」


一年でいちばん楽しみな落語会。今回も良かった☆


昨年までのスライドショーは無く、オープニングは白鳥さんが師匠に振って「円生襲名問題」を中心に20分ほどお喋り。事情あれこれは書かないけど、「円生がどう考えてたか、誰も気にしてないのはおかしい」「落語は聴き手と噺家のものなんだから、正々堂々と表で決めなきゃ」。


まずはそれぞれ、自分の持ちネタを。「ナースコール」を聴くとは思わなかった。
「ランゴランゴ」の前半は、今となっては「落語家の呼び方」レクチャーとして役立ってる(笑)二人とも、それぞれのサイトにお金のことから高座の作り方まで記して「落語会」普及に努めてるもの。ちなみにこの噺は昨年白鳥さんも演ったけど、彼が「客に通じる日本語」で進めていくのに対し、師匠の方は「奇声」を多用。だから「シュール」だ。


互いのネタを演じる後半の2席は、いずれも「ほぼネタ下ろし」(白鳥さんは、小さな会場でやってみたらしい)。
白鳥さんの「いたちの留吉」は傑作!元は「35年ぶりにシャバに出てきた小言好きのやくざ」のカルチャーギャップものなんだけど、「師匠のように、子どもの頃、身近にやくざあがりの人がいたわけでもないので、どういうキャラにしようか考えて、古典一筋の落語家にした」。加えて「時代性が強いので、ギャグはほとんど変えてある」から、もはや別物。「落語ネタ」がくすぐりだけじゃなくストーリーまで浸食し、「古典とか新作とかこだわってる場合じゃない」というメッセージ?を経て、「七代目円生」が登場、きれいなサゲへ。
ところでマクラの「(前座の頃)ネタ帳を踏んで破ってしまい怒られた」話、初めて聞いた。会場のざわめき&笑いに「そんなに反響があるとは」と驚いてたけど、まだそんな隠し玉があったなんて(笑)


「100%ネタ下ろし」の「ペコペコハウス」は、「はらぺこ亭奇談」の「ギャグの85パーセントを変えたもの」。カンペを手拭いに張り付け、台本を高座に並べてスタート。しかし、ハプニングその1…「昨日買った」手袋を忘れ、前座のはら生さんに取ってきてもらう。ちなみに使い方は、パペット落語の鶴笑さんみたいな感じ。ハプニングその2…「ここで白鳥くんはこうするんだよなあ」と座布団を持ち上げてひとしきりしたら、風圧で台本が飛んでった(笑)
白鳥さんが喋ると、荒唐無稽な内容でも光景が鮮やかに浮かんでくるけど、師匠の方は、身振り手振りで必死にやる割には、いまいちぴんとこない。それでも何ともいえない可笑しさがある。「戦う落語家」には確かに若さが武器だけど、円丈には年を取ったからこその面白さもある。
ちなみにオープニングで「今回、この話(はらぺこ〜)をやってみて、勉強になった」「自分の作る噺にはあまり出てこない『親子』によって、キャラクターが固まる」というようなことを言ってたけど、どういう意味だったんだろう?よく分からなかった。