パリより愛をこめて



「96時間」コンビ(リュック・ベッソン&ピエール・モレル)による、ジョン・トラボルタ&ジョナサン・リース=マイヤーズのバディアクションもの。トラボルタ演じる「かっこいい破天荒オヤジ」…というより「破天荒なオヤジって、かっこいいだろ?」とムリヤリ言い含められてるような一時間半。


初めて人を撃ったジョナは返り血にまみれるが、「一時間に一人以上」をあっさり片付けていくトラボルタのスキンヘッドは、つるっときれいなまま。作品のナイーブな部分を全て受け持つジョナに対し、まさに超人だ。その「超人」ぶりが面白い映画なんだけど、体調のせいもあってか、いまいち乗り切れず。


「万能」なトラボルタはセックスも強い。彼が売春婦と姿を消すと、ジョナのいる隣の部屋が揺れる…という描写ってありがちだし、この場面ではこれがジャストなんだろうけど、半ばギャグとはいえ「ガタガタ」=充実したセックス=(男が憧れる)イイ男、みたいな記号的表現って、やっぱり萎える。私にとっては、固いちんこの誇示って、いやらしさから最も遠いから、でもって、男の人にはいやらしくあってほしいから。この作品では、所々にとってつけたようなフェミっぽいセリフを差し込んでおきながら、事後の女の表情はほとんど映さないあたり(売春婦とはいえ、ここは満足した!ってのを表すべきだろう・笑)気が利かないな〜と思ってしまった。
(近年この「ガタガタ」描写が楽しかったのは、アダム・サンドラーの「エージェント・ゾーハン」(感想)のみ)


トラボルタが「エッフェル塔で朝食といこう」と言うので、どんなとこだろう?と思ったら、西武池袋のホームあがる前の立ち食いコーナーみたいな所(少なくとも作中ではそう見えた)。でも「royal with cheese」好きなトラボルタ、ひいては彼等にとっての「パリ」って、そういう所なんだろうなあと思わせられ、悪くない。
ちなみにこの「royal with cheese」や、二人がスタートレックについて交わす会話はタランティーノ作品の、二丁拳銃などを駆使した銃撃戦はジョン・ウー作品のオマージュ?と思われるんだけど、これらのお遊びは、トラボルタの背負う(「ゲット・ショーティ」じゃないけど)映画愛…映画「業界」のわびさび感によってのみ、見られるものになっている。大体、あんな不味そうなバーガーを何度も大写しにすることない、箱だけでいいのに(笑)