運命を分けたザイル2


運命を分けたザイル」を観たのは4年半以上前。山好きなこともありとても面白かった(感想)。原作も何度か読んだ。



日本で続編として公開された今作は、「死のクレバス」(「運命を分けたザイル」原作)の著者であり、全身創痍でシウラ・グランデから生還したジョー・シンプソンが、伝説の登山家トニー・クルツがアイガー北壁で命を落とした事件についてまとめた「The Beckoning Silence」を基にしたドキュメンタリー。北壁を舞台とした再現映像(実際の撮影はどこで行ったのか?)に加え、少年時代よりアイガーとクルツに魅せられたジョーが、リハビリの後に同ルートに挑む姿が描かれる。



アイガー北壁といえば、大好きで何度も観た、映画「アイガー・サンクション」。暗殺を請け負ったイーストウッドが登山チームに紛れ込むが、北壁は観光客から丸見えなので、事故に見せかけなければいけない。ふもとのペンションに滞在中のジョージ・ケネディが覗く、双眼鏡越しの画面がサスペンスフルで印象的だった。
このドキュメンタリーの冒頭でも、アイガー北壁の特徴として、ここでの登山は「公開」となることが挙げられる。それにしても、作中の観光客がしているように、なすすべもなく遭難中の光景を望遠鏡まで使って見るなんて、私にはできないな…。皆でよってたかってそんなものを眺めているところや、クルツの死後に政府が登山を禁止するものの、反対に遭い4ヶ月後にすぐ解禁されるあたり、日本と違って自己責任を重んじてるんだなあと思った。


チラシに書かれた「成功率0%」というコピーが、観終わると、間違ってはいないことが分かる。前作の映像・内容の鮮烈さには及ぶべくもないけど、北壁の迫力はすごい。30年代の登山の様子が再現されているのも楽しい。あんな装備でよく凍死しないものだ。
山の映画というだけで楽しめる私は、前作を観ていなくても面白いだろうと思ったけど、同居人いわく、案内人のジョーがどれだけ山において辛酸を舐めたか分かっていた方が、解説に重みが増すだろうとのこと。確かにそうかも。


アイガー北壁、トニー・クルツといえば、昨年ドイツ映画祭で公開された「ノース・フェイス」をまだ観てない。DVDになる予定はないのかな?