上映中の「アニエスの浜辺」がとても良かったので(感想)、アニエス・ヴァルダの未見の作品を…と借りてきた。
- 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
- 発売日: 1998/08/22
- メディア: DVD
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ジェーン・バーキン原案による87年作。バーキン演じるマリ・ジェーンが、娘の同級生の少年と恋に落ちる。
バーキンの娘をシャルロット・ゲンズブール、その妹もバーキンの実際の娘、夏に訪れるロンドンで彼等を迎えるのはバーキンの実の父母。恋のお相手は、アニエスとジャック・ドゥミの息子のマチュー・ドゥミ、といった具合のファミリー・ムービー。
「カンフー・マスター!」は日本製のテレビゲームのタイトル(原題は「Le petit amour」)。オープニング、柔道着姿のマチューが、ぴこぴこした音に合わせて、路上でゲームの再現をするのが可愛い。そこだけ4、5回繰り返して観てしまった。
「アニエスの浜辺」を観た後だと、このシーンがいかにアニエスらしいお遊びかが分かる。
ここでのジェーン・バーキンは、スタイルのいいミック・ジャガーといったふう。短い髪にシャツとパンツ。気に入った少年に会いに出かけ、コーラとゲームで彼を釣る。恋人に対してはもちろん、娘たちに対しても、恋人のように振る舞う。
終盤、マチューが思い出のゲームセンター?を訪れるシーンにぐっときた。そしてバーキンの方は、恋が終わってから、ほんの些細なこと…「彼のいとこは、本当にあそこにいたんだろうか?」なんて、どうでもいいことが心に引っ掛かる。ああいうのってよく分かる。
この映画に、大人の男は出てこない。あるシーンで姿は映るけど、登場人物としては出てこない。バーキンとマチューは、無人島でひとときを過ごし、寝袋で眠る。なんていう、甘く目隠しされた世界。