ベスト・キッド



84年「ベスト・キッド」のリメイク。主役にウィル・スミスの息子のジェイデンくん、師匠にジャッキー・チェン
とても面白かった。カンフーやりたくなってしまう。


まずは冒頭、初めて北京にやってきた少年の目に映る「異国」感と、その中での「一人ぼっち」感がいい。映画がデトロイト(母親は車工場勤務)を発つ様子で始まっているため、「ホーム」感との対比で、より強く感じられる。古い校舎のような、ドアも開けっぱなしの集合住宅は、お湯の使い方もアメリカとは全然違う。もやのかかった町並み、公園で体を動かす近所の人々、自転車での通勤風景、お嬢様の住む高級住宅街。ほんとにこんなふうなの?と思っちゃうけど(笑)分かりやすくて楽しい。「鳥の巣」や紫禁城万里の長城が強調されるあたりは立派な観光映画。


作中カンフーを披露するのは、ジャッキーの他は子どもばかり。ドレ(ジェイデンくん)を苛める子どもたち、彼らが通う(ドレが目を輝かす)武術学校の生徒達、ラストの大会に出場する選手たち。皆エネルギーとスピードに溢れており、まさに「疲れを知らない」って感じ。ジャッキーが苛めっ子に「勝つ」のを目の当たりにしても、彼らのほうがすごいんじゃない?と一瞬思ってしまう…でもそうじゃない、とこの映画は語る。
ジャッキーはドレを自分のカンフーの源の地に連れて行くなどし(このシーン、色んな技を披露する達人が観光名所のように点在してるのが笑える)「ときには休むことも大事」と教える。ドレは、バイオリンの練習でいつも忙しいお嬢様を遊びに誘い、同じセリフを言う。するとその後、彼女はこれまでになく晴れ晴れとした演奏をしてみせる。ふと、くらもちふさこ「いつもポケットにショパン」の決め台詞「麻子はシチューが得意です」を思い出してしまった。何事も、それだけでなく色々な経験を積むことにより円熟する。カンフーだってそうなのだ。


ジェイデンくんとお嬢様のカップルが可愛らしく、観ていて楽しい。「ラブ・アクチュアリー」なラブシーンもあり。師匠から教わったことを自分も彼女に教えようとするが、わけわかんなくなっちゃうのが、なんとも「男の子」って感じでいい。彼がプレゼントしたあるものには、さすがウィル・スミスの血が流れてるなと吹き出してしまったけど(笑)


クライマックスの大会が開かれるのは、ちょこっとゲーム風の舞台。大きなモニターが設置してあり、点数を決めるたびにそのシーンがリプレイされるのが、安っぽいながら工夫だなと思った。