3時10分、決断のとき


新宿ピカデリーにて公開初日。最高に面白かった。あんなに緊張させられたのも久し振り。
夜の回は、上映3時間前で既に残り数席。観賞後、団塊の世代らしきおじさん同士が「最高だったね!」「ほんとほんと!」と興奮して語りあってる姿に楽しい気持ちになった。



エルモア・レナードの短編の映画化をリメイクした作品。
南北戦争後のアリゾナ。悪名高い強盗団のボス、ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)が町で捕まり、刑務所に送られることに。居合わせた牧場主のダン(クリスチャン・ベール)は、生活苦のため、ベンの手下に狙われる護送の役目を200ドルで引き受ける。


観終わって、同居人に「思ったよりすごく『西部劇』だったから、(私が)退屈してないか心配だった」と言われたけど、すごく面白かった。立派な「西部劇」でありながら、とにかく楽しく、クライマックス前まではロード&バディムービー…「クリスとラッシーの珍道中(仲間は一人ずつ死んでくよ)」という感じ(笑)現代的な要素もたくさん入ってるし、ラストシーンが汽車&山っていうのもいい。



クリスチャン大好きの私は、彼が何をしてもかっこいいと思う反面、何をしても笑えてしまう。今回も、とくに前半は踏んだり蹴ったりなので可笑しくてしょうがなかった。撃たれた爺さん(ピーター・フォンダ/頑丈)を板に乗せて引っ張っていく場面では、我慢できず噴き出してしまった。
「善意の人」というより、自分の信念と心中するような男。でもって最後に言うことが「俺は頑固者じゃないんだ」というのが泣ける。人なつこいラッセルに妻や息子を誘惑され、慌てて割って入る姿も可愛い。


上記のラッセルの話に心そそられる息子の描写が「唾をごくりと飲み込む」であるように、あらゆるシーンがベタで分かりやすい。「3時10分のユマ行きに乗せるんだ」「黙ってろよ」というやりとりにはびっくりしてしまった(伏線ではなかったけど)。クリスチャンが妻に向かって、自分自身を惨めに感じていることを告白したり、ラッセルがクリスチャンに対して「気に入ったぜ」と口にしたり、皆が心の内を言葉にする。だけどタイトだから嫌にはならない。
王道ぽいアクションの数々も加えて、原作を読んだことはないけど、エルモア・レナード作品のこういう映画化もあるんだ、と思った。


移民によるトンネル掘りのシーンで、同居人に「ナイト・ミュージアム(1のほう)だ」と耳打ちされ、ちょっと可笑しかった。オーウェンがあそこにいたら、がんがん爆破を命じてる役だ(笑)
そういやルーク・ウィルソンが出てきたのでびっくりした。ちょっと面白い役なので、観る人は楽しみに。



「お前の牛なんて一頭10ドルにもならんぜ、ほら弁償だ(お金をよこす)」
 (中略)
「もう5ドル追加しろ」
「何だ?」
「俺を緊張させた分だ」


それにしても、西部劇には詳しくないけど、観るたびに、あんな所に生まれなくてよかったと思う。銃は嫌いだし女には娯楽もない。ほんとはどんな生活だったのか分からないけど(笑)