コネクテッド


予告に惹かれて観に行ったら、すごく面白かった!今年のベスト10に入るかも。



監禁された女の電話をたまたま受けた男が頑張るという「セルラー」の香港リメイク版で、監督は「WHO AM I?」などのべニー・チャン。
あらすじはオリジナルとほぼ同じだけど、助ける側の男が可愛コちゃん系(クリス・エヴァンス)からくたびれたパパ(ルイス・クー)に、警官は一見しょぼいおじさん(ウィリアム・H・メイシー)から坊主頭の肉体派(ニック・チョン)に変わっている。


最初の数分は湿っぽい感じで好みじゃなかったけど(娘がキャイーンの天野くんに似てるな〜と思ってた)、グレイスが拉致される場面がシンプルでとても良く、惹きつけられた。オリジナルも話が早かったけど、このリメイク版も、悪者が一切もたもたしないのがいい。主要人物以外は、顔も分からないうちにどんどん殺される。
その後、技師の彼女は壊された電話を手早く直し…ここでどーんと出てくるタイトルが楽しい。もし私が作品の作り手なら、ちょっと恥ずかしいかも…と思うようなやつなんだけど、かっこいい。ちなみにエンドクレジットはオリジナル同様、携帯電話の画面にクレジットが出るというもの。これも泥臭くて好きだ。


町→山→空港と変わっていく舞台も効果的で、とくに前半の町中でのカーチェイスは、最近観た映画の中で一番楽しく、笑いっぱなしだった。「普通のおじさんが興奮してキレた」感じがよく出てる。少々古臭いコメディタッチの演出や、呼び方が分からないけど、ジャッキー映画でお馴染みの「繰り返し」をちょっとだけ振る舞ってくれるあたり、(あまり知らないけど)ふるきよき香港映画の面白さだ。
物語は主役アボン(ルイス・クー)の親子関係、警官2004(ニック・チョン)の仕事上での立場などをからめて進む。最後に登場人物全員が空港に会することになるのはどきどきさせられた。



ルイス・クーは、昔懐かしいマイケル富岡って感じの少々くたびれた美形。走る姿も元々ああなのか、演技なのか、役に合っている。
警官を演じるニック・チョンが、コインロッカー「で」あっさり悪者をやっつけるシーンには惚れぼれした。体の使える役者さんが出てると映画が面白くなる。休日のおじさんルック(もっさりしたカーディガン)もいい。「先輩って呼べ」というセリフが、アジアっぽいなあと笑ってしまった。
一方の悪者たちは、登場からしばらくサングラスを外さない。あるシーンで、親玉を演じるリウ・イエが初めて見せる素顔が印象的だ。後半はずっと顔さらしっぱなしなんだけど、くりくりした目と長いまつげがどこか異常な感じがして、はまっていた。