剣岳 点の記


シネマメディアージュで行われた試写会にて観賞。
監督の木村大作が全国を周ったキャンペーンの最終日に当り、挨拶に加え、入るときも出るときも握手や声掛けを受けた。写真はロビーに飾ってあった、「三の点」の1/2スケール模型。



明治39年、日本地図最後の空白地点を埋めるため、剣岳における測量を命じられた陸軍の測量官・柴崎(浅野忠信)が、地元の案内人(香川照之)らとともに前人未踏の頂に挑む物語。「CG、空撮一切なし/撮影日数208日間」だそう。
「山の映画」が好きで、父母の代までずっと富山県出身で、昨年立山に行っている(日記)私としては、ポスターを見かけたときからずっと気になってた作品。
新田次郎の原作を読んだことがなく、単に男たちが頑張る話だと思っていたので、冒頭にさらっと描かれる「当時の事情あれこれ」…陸軍測量部の山岳会に対する憤り、「誰も登れない」ゆえに山が信仰の対象であったことなど…がまず面白かった。


ラストのナレーションの最後の一言には、「えっ突然なんで?」とびっくり。ともかく、そうした「主張」のある人が作った、熱い映画だ(そして「仲間たち」を紹介するエンドクレジットに続く)。
ただし、監督が上映前の挨拶で「アクション映画じゃないよ!」と言ってた通り*1、派手な山岳ものではない。登山経験のある同行者が「山のシーンが面白かった〜」と言ってたからリアルなんだろうけど、私にはいまいち実感が湧かず…そもそも私が好きなのは、例えば「運命を分けたザイル」にあるように、男がずたぼろになって山にしがみついたり、不味そうなものを食べたりするシーンだから(笑)


画面は見ごたえがある。山に限らず、SL(回転シーンもアリ)や富山駅なども、撮り方がとてもきれい。
でも登場人物の言動は、私にはコントのように感じられた。悪い意味でなく、皆に分かるように様式美?を突き詰めると、そうなるものなのかもなあ、などと思いながら観ていた。


浅野忠信演じる測量官の柴崎は、ひょうひょうとしたキャラクター。上層部の「民間人に負けるわけにいかない」「軍の威信にかけて」との命令で頂を目指す。しかし、彼が山に登るわけ、ひいては生きるわけは、その妻(宮崎あおい)が一言で説明してくれるのだ(このシーンは原作にもあるのかな?)


富山弁が少しは身近である私としては、香川照之のなまりに、全く真実味がなかったのが残念。中央の都会人相手だから、気を遣って喋ってると取ればいいのかな?
それから、仲村トオル演じる山岳会のリーダーが、どんな悪天候でも上着の前を開けてるのが可笑しかった。彼等はテントの中で、あのスーツどうしてたんだろ?
香川照之が頂であるものを見つけるシーンは、ヘルツォークの「彼方へ」(日記内の感想)を思い出した。

*1:ちなみに、なぜこの言葉に至ったかというと、少しばかり空席のある中、うちらが好んで前から2列目に座っていたら、アクション映画じゃないんだから、そんな間近で観る必要ないよ!後ろの空いてる所へ移動したら?と言われたもの(笑)