チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室


ヒューマントラストシネマ文化村通りにて観賞。都内でもう一つの上映館であるシネパトスと迷った(着くまでと着いてから、どっちの苦労を取るか・笑)



金持ちの息子で成績優秀なチャーリー(アントン・イェルチン)の願望は、学校の人気者になること。問題行動と放校の末にとある公立学校に行きついた彼は、生徒たちへのカウンセリング業と薬の転売を始め、校内のカリスマとなる。


邦題からイメージするほどトイレにこもってるわけじゃないけど、チャーリーが皆と話すのがトイレの個室越しというのがいい。聴聞室のようでもあるし、「フェリスはある朝突然に」のマシュー・ブロデリックのように、こちらに向かって語りかけてくるわけじゃないけど、個室の中から「こっちのほう」を見ながら自分のことを話すというスタイル。


チャーリーが自分をいじめた相手を「友達」として取り込む際、事前に鏡の前でセリフを練習するシーンが印象的だ。彼にとっては内容の真偽じゃなく、自分の話ぶりが与える印象とその効果が重要なのだ。でもカウンセリングを行ううち、チャーリーと生徒たちとのやりとりは自然なかんじになってくる。彼自身の心もほぐれてきているのが分かる。
鏡といえば、男子トイレには申し訳程度の横長の鏡が掛かってるけど、使う者はいない。作中唯一それをのぞきこむのは、チャーリーと仲良くなったスーザンだけだ。


お嬢様育ちのチャーリーの母親は、音楽やテニスに興じて日々を過ごし、息子のことを愛している。チャーリーと一緒に「塀の中」の夫に会いに行く際、始めは黒いトップスと柄のスカートだったのが、終盤では全身ピンクのワンピースを身に着けている。私ならああいう服は、自分の気持ちが揺るぎなく晴れて、同伴者とうまくいってるときにしか選ばないだろう。


公立学校の校長であるネイサン(ロバート・ダウニーJr.)は「どうせなら平教員のままのほうがよかった」と愚痴りながら、酒を飲みラジコンボートで遊ぶ。
ラストで、クビになった彼をチャーリーが訪ねる。



「ぼくはstupid kidだ」
「…なんて言ったんだ?」
「ぼくはただの子どもだ」
「そう、お前は子どもなんだ!」


若者と場を同じくする職に就き「大人」として働いているとき、「責任」は持たず皆に影響を与えるチャーリーのような人間が来たら苛々することだろう。子どもなんだからしょうがない、と思うしかない。


それから、学校の女の子たちのルックスが女優っぽくなく自然なのが目を引いた(ああいう学校なんだから当然だけど)。そう感じたのは、昨年観た「英国王給仕人に乾杯!」以来(これは違う意味で…皆胸をいじってなくて、よく昔っぽい人を集めた&見せたなあと感心した)



「今から外出禁止よ」
「どれくらい?」
「そうねえ…普通はどのくらい?」
「24時間かな」
「じゃあ、逮捕されたんだから30時間ね」