バグズワールド


最高に面白かった!エンドクレジットを眺めながら、アリについて知りたいこと(できればまた、ああいった映像で)が次から次へと浮かんできて困った。シロアリの女王はどういう過程を経てああいう体になるのか、それが寿命をまっとうした際、アリ塚の中はどうなるのか…。



医療用のマクロ撮影レンズを使用し、サバンナの奥地に生きるアリの生態を描いた作品。種類の異なるいくつかのアリの群れが紹介されたあと、「物語」は、巨大な蟻塚を守るオオキノコシロアリと、そこへ攻め込むサスライアリの戦いへともつれ込む。


映画が始まってすぐ、生き物ってなんてフォトジェニックなんだろうとしみじみ思わせられる。それに合わせて「予兆」や「戦い」、「悲劇」などを表す効果音や音楽が流れるんだけど、全然うるさくない。
一族の未来を背負う幼いシロアリは、(「北極のナヌー」で流氷に翻弄されるシロクマのように)泥土の中を漂う。「一匹では弱いが、多少死んでも全体の強さには何の影響もない」肉食のサスライアリは、夜には「生きた蟻塚」となり、川では「生きた橋」となり、侵入先では「生きた梯子」となって獲物を目指す。「擬人化」とはなんと甘美な誘惑、楽しみだろうと思う。


子ども(家族連れ)対象の広告なども見られるため、劇場には子どもの姿も見られた。しかし字幕には読み仮名がないし、言葉遣いも大人向け。通路を挟んだ座席に着いた父親は、小学校低学年らしき息子に対してずっと字幕を読み上げ続けていたけど、瞬時に平易な内容に変換できるわけもなく、子どものほうは内容が分からないため後半はお菓子を食べたり立ち上がってきょろきょろしたりしており、かわいそうに思った。