ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛


原作は小学生のころ図書室で借りて読んだけど、全く覚えておらず…。同居人が岩波書店の「カスピアン王子のつのぶえ」を買ってきたので、ぱらぱらと読んだ。挿絵が楽しかった。
ナルニア国物語」については、なんでライオンが王なの?とか色々思うところはあるけど、映画は結構楽しんでいる。



イギリスに戻って1年後、4人は再びナルニアへ。角笛で彼等を呼んだのは、ナルニアを滅ぼそうとする隣国から逃亡した王位継承者、カスピアン王子(ベン・バーンズ)であった。


真夜中、石造りのお城、美しい王子が眠りを覚まされ、命の危険を知り、馬を駆って逃げる。橋を渡り森を抜け…原作ではナルニアに着いた4人が助けた小人からカスピアンにまつわる話を聞くという流れだけど、映画ならではの心踊るオープニングが楽しい。カスピアンのキャラクターは薄く、とくにこの冒頭など人となりが全く見えないけど、それも王子様らしくていい。世にどれほど「○○王子」がいようと、物語に閉じ込められた王子様ほど麗しいものはない。
彼と長男ピーターが初めて顔を合わせる場面も、原作とは異なり、「男の子同士の対面」が強調されておりぐっとくる。同行者は一作目から、ピーター役の子はヒース・レジャーに似てると言っていたけど、まぶしそうな目元やぶーたれた口元など、確かに通じるものがある。4人の中では二男のエドマンドが一番美しくなっていた。


ナルニアに戻った4人はひとまず浜辺ではしゃぐ。イギリスでは寄宿舎に戻る道中だったので、皆制服姿だ。この後の場面での着崩し具合はまさに、水遊びを経たからということもあるけど、私の世代にとっては80年代の「アナザー・カントリー」などから続く「ザ・イギリス」。すぐにナルニアの衣装に着替えてしまうのが勿体なかった。


浜辺でピーターは「こっちでいったん大人になったのに、向こうではまた子どもなんだからな…」というようなことを不満げに口にする。よく言う「今の中身のままで昔の自分に戻ったら…」(絶対イヤだけど、私は・笑)というアレなんだろうか?原作ではさらっと流されてるけど、映画ではこのことがずっと根底にあるような気がした。
そのため、冒頭(とラスト)スーザンが接近してくる男の子を嫌がるのも(このくだりは原作にはない)、彼が冴えないからというだけでなく、こちらでの人間関係をうとましく感じているのかなあ、と思ってしまった。


食べ物の描写が全くなかったのは残念。第1章ではかろうじて、キーとなるターキッシュ・ディライトやタムナスさんのイワシのトーストなどが出てきたけど(全然美味しそうに見せてくれなかったけど)、今回はさっぱり。せめて4人がうんざりさせられる「りんご」の描写が欲しかった。
食べ物の描写の他、お城や砦にもあまり魅力を感じない。たぶん作り手は、そういう生活感?に興味がないんだろう。
ちなみに、原作ではルーシーを襲ったクマを殺して旅の食糧にしてるのに、映画ではスーザンは弓を射るのさえ躊躇する。ここは(原作と比べなくても)いまいちだと思った。