ダージリン急行


インドの大地をひた走るダージリン急行に乗り込んだ三兄弟…長男(オーウェン・ウィルソン)、二男(エイドリアン・ブロディ)、三男(ジェイソン・シュワルツマン)。父親の葬儀以降は疎遠になっていた彼等だが、長男が家族恋しさに「魂の旅」を計画したものだ。しかし弟たちは諸事情もあり、仕切り屋の兄に不満を募らせる。



久々にスクリーンでオーウェンを見られて嬉しかった。劇場では「ナイト ミュージアム」以来(あれ最高だった)。三兄弟の長男の彼は、自分が中心でなければ気がすまず、何でも口出しせずにいられない。後半、彼の「やり方」が親譲りであることがわかるくだりは、わざとらしいな〜と思いつつほろっと来てしまった。
大事故の後という設定のオーウェンはほぼ全編、顔は包帯でぐるぐる巻き、額に散るくせ毛もないし、むくんで老けこんで見えるけど、ともかく男3人のコスプレ映画としてまず楽しい。基本はノータイのスーツ、列車内のパジャマや下着、遭難者(川に落ちて羽織ものを借りる)、冠婚葬祭用の黒スーツ+コート。3人は2人じゃないから、例えば車の後部座席などにみっしりくっついて座る。
エイドリアン・ブロディの手足の長さには感動した。ああいうトランクスが似合う男の人って、実際なかなかいないものだ。
駆け出し作家?のジェイソン・シュワルツマンが、前フリとなる短編「ホテル・シュヴァリエ」でナタリー・ポートマンからの電話を受け、置物を飾り音楽を流す場面ではウディ・アレンみたいなキャラかと思ったけど(苦手だから困ったけど)、そうでなくて良かった。


登場人物が散々タバコを吸ってたのも楽しかった。私は吸っても吸わなくてもいい、程度のスモーカーだけど、男の人に火をつけてもらうのが大好き、そういうシーンを見るのも好きだから。
インドでは交通機関は「絶対」ダイヤ通りに運行しないと聞くけど、作中何度も走って列車をつかまえる彼等は、どのような時間に合わせて駅に来たのか、あるいは時計なしでたまたま発車直後に着いたのか、気になってしまった(笑)


予告編で繰り返されていた「スピリチュアル・ジャーニー」という言葉。同行者は「今の日本のスピリチュアル、とは全然違っててよかった〜」と言っていた。家族が仲良くなるのになぜ「エキゾチック」が必要なのか分からないけど、ともかく何らかの体験を経て、人はその関係を変えてゆく。
ポップコーンを食べながら観たんだけど、そういう映画、観終わって「インド料理でも…」という気にはならない映画だ。アメリカ人の話。



「皆に会いたかったわ」
「じゃあなぜ葬式に来なかったの?」
「…行くのがいやだったから」
  (三兄弟の母親、アンジェリカ・ヒューストン…素晴らしい顔だった)